ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『かくして彼女は宴で語る—明治耽美派推理帖』宮内悠介,幻冬舎,2022ーー明治期の黒後家蜘蛛の会

 宮内悠介氏の謎解きミステリで評判がよいという情報以外まったくもってなかったなか読んだら,明治時代の作家,詩人などの文化人の集まりの会が舞台で,そこで出された謎を舞台の西洋料理店の女中があっけなく解くという黒後家蜘蛛の会の日本版で驚いた。

 しかし,その謎の解き方の質とプロセスが,法月綸太郎氏のある作品に似ていて,これで作者と勝負するのは難しいなと感じた。また,女中の正体を明かさないほうがよかった。それでも,6編の短編はそれぞれ楽しめたので,☆☆☆★というところです。