ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』(◎)

裁判長!ここは懲役4年でどうすか (文春文庫)

裁判長!ここは懲役4年でどうすか (文春文庫)

東京地方裁判所の裁判傍聴記をエッセイ風に記したルポ。面白いので一気読みでした。北尾氏は,もっと書きたいことがあったんだろうけど,あえて書いていないところも良かったですね。

まあ,こうして読んでみて感じることは,一体犯罪者というのは何なのかということですね。誰でも犯罪者になりうるのか,それともなりえないのか,たまたま犯罪者になってしまうこともあるのか。まあ,犯罪の種類にもよりますが。

例としてですが,殺人という犯罪は,どう考えてみても割があわないんですね。なぜ殺人を犯さなければならないかというと,自分の利益になるからでしょう。しかし,殺人を犯したら,利益を受けた人間が疑われるわけです。ほとんどの場合,警察に捕まってしまいます。そんなリスクを冒すぐらいでしたら,殺人をしないで対処した方が,ずっと良いわけです。だから,殺人を犯してしまった人というのは,そのように冷静に考えられなかったか,冷静になる機会がないぐらいせっぱ詰まっていたか,殺人以外の選択肢がなかったか,または殺人を犯す気がなかったか,最後に病気だったかですね。そうすると,やはり捕まる以外ないんでしょうかね。まあ,どうでもいいことなんですが。

私も裁判を傍聴したくなってきましたね。月一回ぐらい行ってみようかなあ。

途中,「あれ,このつっこみの文体最近見たことあるなあ」と何度か首をひねって考え込んでみると,答えは谷川流氏の主人公キョンの口調でした。まあ,つっこみなんて誰でも同じなのかも知れませんね。

奥付を見たら,2006年7月10日第1刷発行で,2006年9月15日第6刷発行となってました。売れているんですねえ。まったく羨ましいもんです。