- 作者: 北尾トロ
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/07
- メディア: 文庫
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東京地方裁判所の裁判傍聴記をエッセイ風に記したルポ。面白いので一気読みでした。北尾氏は,もっと書きたいことがあったんだろうけど,あえて書いていないところも良かったですね。
まあ,こうして読んでみて感じることは,一体犯罪者というのは何なのかということですね。誰でも犯罪者になりうるのか,それともなりえないのか,たまたま犯罪者になってしまうこともあるのか。まあ,犯罪の種類にもよりますが。
例としてですが,殺人という犯罪は,どう考えてみても割があわないんですね。なぜ殺人を犯さなければならないかというと,自分の利益になるからでしょう。しかし,殺人を犯したら,利益を受けた人間が疑われるわけです。ほとんどの場合,警察に捕まってしまいます。そんなリスクを冒すぐらいでしたら,殺人をしないで対処した方が,ずっと良いわけです。だから,殺人を犯してしまった人というのは,そのように冷静に考えられなかったか,冷静になる機会がないぐらいせっぱ詰まっていたか,殺人以外の選択肢がなかったか,または殺人を犯す気がなかったか,最後に病気だったかですね。そうすると,やはり捕まる以外ないんでしょうかね。まあ,どうでもいいことなんですが。
私も裁判を傍聴したくなってきましたね。月一回ぐらい行ってみようかなあ。
途中,「あれ,このつっこみの文体最近見たことあるなあ」と何度か首をひねって考え込んでみると,答えは谷川流氏の主人公キョンの口調でした。まあ,つっこみなんて誰でも同じなのかも知れませんね。
奥付を見たら,2006年7月10日第1刷発行で,2006年9月15日第6刷発行となってました。売れているんですねえ。まったく羨ましいもんです。