ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2008-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『共同研究 団塊の世代とは何か』佐伯啓思、佐藤俊樹、平野啓一郎、刈部直、若宮啓文、飯尾潤、張富士夫、松原隆一郎、嶋中雄二、関川夏央、山田昌弘、浅間里江子、細川興一、森信茂樹、御厨貴、講談社、2008(○)

このようなワンテーマにまつわる編著の書籍・雑誌って、割合好きだったりします。さまざまな視点で語られるため、そのテーマの全体像について、コンパクトにまとめられており、また興味があるところのどこから読んでも良いものだからです。例えば、昔の宝島…

『アラビアの夜の種族?・?・?』古川日出男、角川書店、2006(○)

2002年発表の作品で、第55回日本推理作家協会賞・第23回日本SF大賞受賞作。推理作家協会賞を受賞したからといって推理小説というよりは、半村良の系譜を継ぐ、伝奇小説であり、そういう流れで受賞したのでしょう。アラビアの夜の種族〈1〉 (角川文庫)作者: …

『「狂い」の構造』春日武彦/平山夢明、扶桑社、2007(○+)

精神科医と幻想ホラー作家の「狂気」をテーマにした対談集。学究的なものじゃないので、気軽に読むことができます。てっきり、平山氏のカウンセリング的な要素が大きいのかと思ったら、そうではありませんでした。「狂い」の構造 (扶桑社新書)作者: 春日武彦…

ジェイムズ・クラムリー死去

ジェイムズ・クラムリー氏=米国の推理小説作家 ジェイムズ・クラムリー氏(米国の推理小説作家)米ワシントン・ポスト紙(19日付)によると、16日死去。68歳。米テキサス州生まれ。1978年に発表した、酔いどれ探偵の姿を詩情豊かに描いたハードボ…

『ブルー・ムービー』ジョゼフ・ハンセン、大久保寛訳、早川書房、1979、1986(○+)

保険調査員ブラッドステッター・シリーズ全12作中第5作目の作品。このシリーズの最大の特徴は、探偵役であるビラッドステッターがホモセクシャルであるということであるが、本シリーズを読むたびに、その設定はいったい何の意味があるのだろうと思わずにい…

『怪魚ウモッカ格闘記―インドへの道』高野秀行、集英社、2007(○)

ネット上で一部のUMAファンに盛り上がってるインドの漁村で捕獲された、鮫にもワニにも似たトゲトゲの怪魚、通所ウモッカ。それを探しにインドに向かうお笑いノンフィクション。読み物として面白いです。怪魚ウモッカ格闘記―インドへの道 (集英社文庫)作者: …

『ロートレック荘事件』筒井康隆、新潮社、1990→1995(○)

筒井康隆氏の数少ないミステリ小説のひとつ。なんて言ったらよいのでしょうか、今でいうプリーストのような小説です。って、本来は逆ですが。最後まで読んだ後、もう一度、最初から、トリックを確かめてしまいました。ストーリーを紹介したいのですが、設定…

『死因不明社会―Aiが拓く新しい医療』海堂 尊、講談社、2007(○)

『チーム・バチスタの栄光』の著者が書く新たな死亡診断システムを提唱しています。発売当時、さまざまな新聞・雑誌などでインタビューを受けていましたね。それだけ、社会問題として取り上げやすいテーマでありますし、現在の診断システムの惨さが際だって…

『ボトムズ』ジョー・R・ランズデール、北野寿美枝訳、早川書房、2000→2005(○)

ランスデールを読んだこともないし、『ボトムズ』というタイトルから、何となくサイコ・スリラーかなと敬遠していたのですが、たまたま書店で手にとってカバーのあらすじを読むと、キングの 『スタンド・バイ・ミー』やマキャモンの『少年時代』のような感じ…

『ビッグコミックスピリッツ 2008年9/26号』新装刊

ビッグコミックスピリッツ 2008年 9/26号 [雑誌]出版社/メーカー: 小学館発売日: 2008/09/06メディア: 雑誌購入: 1人 クリック: 23回この商品を含むブログ (4件) を見る 『ヤングサンデー』の休刊に伴って、主力マンガを移籍させてのリニューアル装刊で、本…

『死者たちの礼拝』コリン・デクスター、大庭忠男訳、早川書房、1979→1980→1992(○+)

コリン・デクスターの全14作中第4作目。モース主任警部もの。CWAシルヴァー・ダガー賞作。1979年に原著が発行されて、その翌年には翻訳されているということは、非常に人気があったんですね。このシリーズは、モースのアクロバットな推理を読むというよ…