ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『相棒 Season 8』「最終話 神の憂鬱」2010年3月10日

2週間前から交通局に対し、法定速度内でもオービスが反応してしまうというスピードカメラの誤作動の訴えがあった。一方、帝都物産の屋上から、社員の早乙女が飛び降り自殺した。帝都物産は、産業スパイ対策の防犯カメラが多く設置されており、その記録から…

『相棒 Season 8』「第18話 右京、風邪をひく」2010年3月3日

竹林で65歳の西島という男の死体が埋められているのを発見された。現場周辺に西島のものらしき軍手の裏側に油性ペンによる黒い二つの点がつけられていたものが落ちていた。西島には家族も身寄りもなく孤独であり、死因は殴打によるくも膜下出血だったことか…

『ジェリコ街の女』コリン・デクスター,大庭忠男訳,早川書房,1981→1993――探偵と勝負か、作者と勝負か、それが問題だ!

モース主任警部シリーズ第5作めで、英国推理作家協会賞シルヴァー・ダカー賞受賞。 モースがパーティの席上であったアンという女は魅力的だった。後日、モースはそのアンに会いに行ったが不在だった。そのまた後日、アンが自殺していたことを知ったモースは…

『「日常型心の傷」に悩む人々』丸野俊一, 小田部貴子編,現代のエスプリ no. 511,2010/01

日常型心の傷とは以下の通り、昔からあったと思われるが、現代特有の状況によって生じる心の傷のことらしい。その多くの原因は、人間的つながりの希薄化としている。 小田部(2009)によると、生命の危機に結びつかない精神的暴力・虐待・嫌がらせに悩む人々…

『バクマン。 7巻』大場つぐみ, 小畑健,集英社,2010/03――編集者と最終回

うーん……なんというか、港浦という編集さんに感情移入してしまいます……。彼は編集者として優秀なのかそうではないのか……。どちらかというと、私も服部タイプではなく、港浦タイプなので……。この作品では編集者の特徴をデフォルメしていますけどね……。しかし…

『おかしな二人』井上夢人,講談社,1993→1996――何度でも読むことができる傑作

気分が落ち込んで、鬱っぽくなり、エネルギーを要することが自発的にできなくなったときに読む本がいくつかある。その多くは、例えば『まんが道』『プレイボール』などのマンガであったけど、今回は既読の本棚に並んでいた本書を手にとった。本書は、井上氏…

『“文学少女”と穢名の天使』野村美月,竹岡美穂,ファミ通文庫,2007――耽美的なミステリ

文学少女シリーズ第4作目。相変わらずの事件に巻き込まれた心葉とその謎解きをする(ときどき間違うこともあるけれど)文学少女の物語。本作は、ガストン・ルルーの『オペラ座の怪人』をモチーフに物語が進みます。 遠子は受験勉強のため文芸部を休部宣言す…

『パンドラ抹殺文書』マイケル・バー=ゾウハー,広瀬順弘訳,早川書房,1980→2006――冷戦が生んだ傑作スパイミステリ

マイケル・バー=ゾウハーの第4作目。私は過去に1作は読んでいるはずなのですが、作品名もわからず……。とびきり面白かったという記憶しか残っていません。本書は、書体を大きくした復刊もの、あるいは改訳ものなのでしょうか? ある二重スパイ「パンドラ」…

『オーデュボンの祈り』伊坂幸太郎,新潮文庫,新潮社,2000→2003――真にオリジナルなデビュー作

新潮ミステリー倶楽部賞を受賞した伊坂氏のデビュー作。以前から興味はあったものの、なぜか出会いがなく、これまで未読でした。 主人公は伊藤という若い男。彼は仙台から遠く離れたところにある牡鹿半島の南に位置する荻島という小島へ、見知らぬ男に案内さ…

『疑り屋のトマス』ロバート・リーヴズ, 堀内静子訳,早川書房,1985→1987――減らず口をたたくソフトボイルド大学教授

実は発売当初から書評等で気になっていた作品。たぶん好みが合う書評家が紹介していたんですよね。読むのがまさか23年後になってしまうとは。その理由は翻訳当初以降でほとんど語られることがなかったことと、もう一冊しか出版されていないからですね。とい…

『相棒 Season 8』「第17話 怪しい隣人」2010年2月24日

右京は、9年前に起きた3億円現金輸送車強盗事件の関係者で元警備員の男に、関係品として押収されていたハンカチを返却しに自宅へ行った。一方、その隣の一軒家に配管工事人のつなぎを着た三人組の男たちが、窓ガラスを割って侵入し、住んでいる佐藤夫婦を…

『相棒 Season 8』「第16話 隠されていた顔」

ある日曜日、大学の農学部の倉庫でガス爆発事件が起き、心理学部の曽田准教授の焼死体が見つかった。その爆発の原因は、曽田が倉庫で煙草を吸ったとき、LPガスのボンベから漏れたガスに引火したものだった。その事件のそばを偶然通りかかっていた右京と神戸…

『銀河英雄伝説〈5〉風雲篇』田中芳樹,東京創元社,1985→2007

フェザーン自治領を武力占領した帝国軍の最高司令官ラインハルトは、すべての宇宙を手中におさめようと、同盟軍への侵攻を開始し、まずフェザーン回廊を通過しイゼルローン要塞に向かった。首都はイゼルローン要塞にいるヤンに対し、ヤンの判断で行動して良…