ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『予期せぬ結末1 ミッドナイトブルー』ジョン・コリア、井上雅彦、植草昌実訳、扶桑社ミステリー、2013ーー奇妙な設定、奇妙な筋の運び、奇妙なオチがある

奇妙な味のさきがけの作家、ジョン・コリアの短編集。私は昔『炎のなかの絵』を読んでいるのですが、あまり記憶に残りませんでした。他の作家よりオチの強烈度が少ない、物足りないと感じたように思います。 本書は約300ページに17の短編が収録されており、…

『レイチェルが死んでから』フリン・ベリー、田口俊樹訳、ハヤカワ・ミステリ文庫、2016、2018ーーサスペンスで、スリラーで、サイコもの

本書は、新人作家のフリン・ベリーのデビュー作にして、2017年のエドガー賞最優秀新人賞受賞作。同時期に『東の果て、夜へ』があり、それを制したものとのこと。 15年前に姉のレイチェルが殺されたのを発見した妹のノーラが主人公。ノーラは悲しみに暮れなが…

『中動態の世界―意志と責任の考古学』國分功一郎、医学書院、2017

世界でこれまで見過ごされてきたことに対して、言葉を名付け見つけてきた論考であります。何も知識をもたず読む前は、「中動態」とは、be動詞のことで「在る」ことを示しているかと思っていましたが、全く異なるものでした。 とにかく、これから物事を考える…

『バビロン 1 ―女―』『バビロン 2 ―死―』『バビロン 3 ―終―』野崎まど、講談社タイガ、2015、2016、2017

野崎まど氏の新シリーズですが、本作も『Know』も少し退屈なんですよね。ついでに言ってしまえば『カド』も。この理由はおそらく官僚や政治家などを主役に据えているせいではないでしょうか。野崎氏のキャラクターは変人なので官僚などにやらせると少しリア…