ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『血の痕跡』スティーヴン・グリーンリーフ, 黒原敏行訳,早川書房,1992→1994

私立探偵ジョン・タナー・シリーズ第8作目の作品。前作が、謎解きが凝っていて評価が高かった『匿名原稿』。本書も読み終えてみると、ハードボイルド小説というよりも私立探偵小説の要素と謎解きミステリの要素が上手く複合しており、なかなかのお勧めです…

『謎まで三マイル』コリン・デクスター, 大庭忠男,早川書房,1983→1993

モース主任警部シリーズ第6作めの作品。ちなみにタイトルの意味はよく分かりません。おそらくは出典があるのではないかと思いますが。 河から上がった死体は四肢どころか首まで切断されていた。死体がもっていた業の半分しか読むことができない手紙から、殺…

『はなれわざ』クリスチアナ・ブランド, 宇野利泰訳,早川書房,1955→2003

本作は傑作だと思います。しかし、他の人に勧められるかというと、なかなかできる作品ではありません。というのは、本作は三人称で説明されているものの、そのテレビカメラのように視点が次々に移動し、それをあまり意識せずに読んでいると、「えっ、ここは…

『小説家という職業』森博嗣,集英社,2010

森氏の小説家としての方法論と小説家をとりまく出版ビジネスについて書かれたエッセイ集。刺激的ではあるけれど、森氏だからこそだよなあ、森氏しか当てはまらないと嘆息すること多い。森氏は小説を発表する際に、1作目よりも2作目、3作目のほうが面白く…

『ポアロ登場』アガサ・クリスティー, 小倉多加志訳、早川書房、1923→2004

こころが疲れてしまい、それを癒すため、端正な短編推理劇を毎日就寝前に一編ずつ読みました。トリックとして一人二役ネタが多く使われています。それでも、短編なので、疑う時間がもてず結構騙されてしまいます。 収録作は以下の14編。「〈西部の星〉盗難事…