ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『三人の名探偵のための事件』レオ・ブルース、小林普訳、扶桑社ミステリー、1936、2017ーー密室、3人の名探偵による多重解決、どんでん返しなど探偵小説のお約束の要素がてんこ盛り

イギリスの1930年代にデビューしたミステリ作家レオ・ブルースのデビュー作。作風はイギリスミステリ黄金時代そのもので、シリアスではないユーモアミステリです。私は初読で、今までに読んだ中では、殺人をゲームとして扱っているという点で、バークリー、…

『漫画原作者・狩撫麻礼 1979-2018 《そうだ、起ち上がれ!! GET UP . STAND UP!!》』狩撫麻礼を偲ぶ会、双葉社、2019ーー土岐が探偵事務所を開く理由は

Amazonでおすすめされるまで気が付かなかった狩撫麻礼氏の追悼本で、ファンならばまったく損をしない充実した編集になっています。ちょっとこれ以上の追悼本は思いつかないくらいです。 かわぐちかいじ、江口寿史、松森正、大根仁のインタビュー・追悼の文章…

『厳寒の町』アーナルデュル・インドリダソン、柳沢由実子訳、東京創元社、2005、2019ーー新しいミスリードを誘うミステリ

アーナルデュル・インドリダソンの新作といっても、原著発行は2005年のかなりの旧作。インドリダソンは私と相性がよく、文章を読んでいても不快な気分になりません。今回もエーレンデュルの捜査のたたずまいや行動様式がメグレ警部に似ていて、メグレ警部物…

『三体』劉慈欣、立原透耶、大森望、光吉さくら、ワンチャイ訳、早川書房、2006、2019

久しぶりのSFです。わたしのSF歴は高校時代から、有名どころの作品を一通りではなく半分ぐらいかじってきた感じで、普通の人よりは読んでいる程度。例えば、『果てしなき流れの果てに』をまったく無情報(いま考えてみればすごい)で読んで、SFの醍醐味を味…