ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『鵼の碑』京極夏彦、講談社ノベルス、2023ーー京極堂シリーズのオールスタープロジェクト

京極夏彦氏の京極堂シリーズ(昔は「百鬼夜行シリーズ」ではなく、そういっていたはずだ)の17年ぶりの新作。相も変わらず分厚い新書を必死こいて時間がない中読みました。 最初『姑獲鳥の夏』から『絡新婦の理』まで、すべて傑作だったので、とんでもない天…

『秋期限定栗きんとん事件:〈小市民〉シリーズ』米澤穂信、創元推理文庫、2009ーー『ホッグ連続殺人』を下敷きにする

米澤穂信氏の「小市民シリーズ」第3弾の作品。ずいぶん前に買っていたものだけど何故か積読しっぱなしで、今回手に取ったのは偶然目にとまりました。 久々に読んだことになるけれど、こんなライトノベルらしいライトノベルだったかというのが第一の感想で、…

『同期生―「りぼん」が生んだ漫画家三人が語る45年』一条ゆかり、もりたじゅん、弓月光、集英社新書、2012

同時に『りぼん』の新人賞を受賞した3名の漫画家に対して、自らの漫画家としての軌跡をそれぞれインタビューしまとめたもの。少し前のものだけど三名三様のものがあり、とても面白い。 僕はどの作家に対しても、あまり読んでいない読者だけれども。例えば、…

『死と奇術師』トム・ミード、中山宥訳、ハヤカワ・ミステリ、2022、2023ーー黄金時代の謎解きミステリのバリエーション

作者のトム・ミードはこれが処女作。短編はいくつか発表しているらしい。本書はピーター・ラヴゼイの後押しを受けて出されたようです。ガチガチの謎解きミステリファンらしく、本書は両親とともにカーにささげられています。 舞台は1936年のロンドンで心理学…