ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「詩学――創作論」『世界の名著 8 アリストテレス』アリストテレス, 田中美知太郎訳,中央公論新社,前340年代→1979.

ギリシャの哲人アリストテレスの詩作(創作物)における創作論。以下は覚え書きです。読んでいると、『オデュッセイア』を批判していたり、創作オタクの評論のような気がしてきて、非常に興味深いです。 まず、詩(創作物)と、その作者である作家(詩人)の…

『死刑囚』アンデシュルー・スルンド, ベリエ・ヘルストレム, ヘレンハルメ美穂訳,RHブックス・プラス,2006→2011

スウェーデン・ストックホルムを舞台にしたミステリ。警察小説でもなく、サスペンスでもありません。ミステリというよりも普通小説に近いのですが、最後まで読めば謎を主体としたミステリとなっています。この作品はこの作者の初読です。 ストックホルムの傷…

『ゴールデンタイム〈4〉裏腹なるdon't look back』竹宮ゆゆこ, 駒都えーじ, 電撃文庫, 2012

竹宮ゆゆこ氏の新シリーズ。過去の記憶が欠如している大学1年生の多田万里、途すぎる恋愛感情をもつ美人お嬢様の加賀香子の「青春ラブコメ」第4巻。二人は付き合うことになったのですが、万里の過去の記憶がまだら模様のように蘇り、その過去の記憶に振り回…

『オックスフォード運河の殺人』コリン・デクスター, 大庭忠男訳, ハヤカワ・ミステリ文庫, 1989→1996

モース警部主任シリーズ第8作目の作品で、英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞受賞作。不摂生ため目眩がして倒れた(糖尿病なのか?)ため、病院に入院中のモースが一八〇〇年代の殺人事件を推理するという『時の娘』風の安楽椅子もの。 入院中のモースは…

『月刊アニメスタイル 第6号』グッドスマイルカンパニー,2012

特集は「ノイタミナがひらくアニメの可能性」で『あの花』を中心としたノイタミナの特集。『あの花』の長井・田中・岡田氏のインタビュー+鼎談、プロデューサー、制作デスク、色彩設計、撮影監督などのメインスタッフのインタビュー、『UN-GO』の會川昇・辻…

『ローレンス・ブロックのベストセラー作家入門』ローレンス・ブロック, 田口俊樹, 加賀山卓朗訳,原書房,1981→2003.

タイトルは、『ベストセラー作家入門』といい、何となく下世話なものを想像しがちですが、内容はそのようなものでなく、『ライダーズ・ダイジェスト』(アメリカの作家志望者向けの雑誌なのでしょうか?)に連載されたものであるように、作家志望者がプロ作…