ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

『ゴーストマン 時限紙幣』ロジャー・ホッブズ, 田口俊樹訳,文藝春秋,2014 ☆☆☆☆

じつは、11月初旬ぐらいに読み終わっていました。今のインターネットが発達した情報化社会(という言葉も古いな……)において、キャラクターがフィジカル中心の冒険小説は難しいと思っていたのですが、本書はその壁の乗り越えました。非常にスピーディに読ま…

『ダブル・プロット』岡嶋二人,講談社文庫,2011

岡嶋二人氏の昔の短編集に、新たに未収録短編を3本収載し、新たに発行したもの。「記録された殺人」「こっちむいてエンジェル」「眠ってサヨナラ」「バッド・チューニング」「遅れて来た年賀状」「迷い道」「密室の抜け穴」「アウト・フォーカス」「ダブル・…

『最貧困女子』鈴木大介,幻冬舎新書,2014

昨年の発行直後からネット上などで話題にあげられていた新書です。本書は「最貧困女子」を「セックスワーク(売春や性風俗)で日銭を稼ぐしかない」貧困女子をテーマにしたもので、その原因を「慎重」に解説しています。 筆者は、低所得を前提に「家族の無縁…

『泣き虫弱虫諸葛孔明 第四部』酒見賢一,文藝春秋,2014

「泣き虫弱虫諸葛孔明」シリーズの第四弾。龐統士元(名前がかっこいい)の劉備軍への加入から、その死、益州の攻略、荆州をめぐっての関羽の敗北と死、曹操の死、蜀漢の建国、さらに劉備の死までが語られます。リーダビリティが高く、すらすら読むことがで…

『ちばてつやが語る「ちばてつや」』ちばてつや,集英社新書,2014

ちばてつや氏のデビューから今のところの最後の作品までの自作解説集。これは、たぶんですが、『ちばてつや全集』刊行の時に一冊一冊ちば氏が自作解説をおまけで付けていましたが、それらをまとめたもののようです。できればまとめることをせず、そのまま転…

『ミステリマガジン 2015年 01月号』早川書房,2014

昨年のニュースのなかで気になったものといえば、以下の「〈ミステリマガジン〉〈SFマガジン〉〈悲劇喜劇〉隔月刊化のお知らせ (2014/11/26)」http://www.hayakawa-online.co.jp/new/2014-11-26-211853.html です。巷間いわれてる翻訳ミステリの売れ行き…

哲学書と小説(フィクション)の脳の使い方は異なるのか?

4カ月ほどブログを中断してしまいましたが、どうも哲学書を読んでしまったのが理由のようです。カントなどの哲学書を読むと、小説が読めなくなってしまいます。このブログでは哲学書をあまり取り上げていませんが、たまに読みます。これは数年前にも2カ月…

『黒い瞳のブロンド』ベンジャミン・ブラック, 小鷹信光訳,ハヤカワ・ポケット・ミステリ,2014,2014 ☆☆☆☆

さすが『長いお別れ』の続編で、原著発行直後の翻訳出版です。早川書房が他社に版権と取られてたまるか、というような印象を受けます。 いかにもチャンドラーのマーロウ物語のパスティーシュという感じがしていて、非常に好感がもてました。また、当時のハー…