ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2009-08-01から1ヶ月間の記事一覧

 『幻の女』 香納諒一、角川書店、1998→2003

ハードボイルド作家の加納諒一氏の出世作となった、第52回日本推理作家協会賞受賞作。発表が1998年なのでおよそ10年前の作品。 弁護士の栖本は、5年前不倫のつきあいをしていたが姿を消した小林瞭子と街中で偶然再会した。その翌日、瞭子は栖本宛の相談の依…

 『象と耳鳴り』 恩田陸、祥伝社、1999→2003

謎解きミステリ連作短編集。収録作は、「曜変天目の夜」「新・D坂の殺人事件」「給水塔」「象と耳鳴り」「海にゐるのは人魚ではない」「ニューメキシコの夜」「誰かに聞いた話」「廃園」「待合室の冒険」「机上の論理」「往復書簡」「魔術師」の12編。 読ん…

 『ミステリマガジン 2009年 06月号』 早川書房、2009

発行からずいぶん過ぎてしまいましたが、『ハヤカワミステリマガジン2009年6月号』の座談会「翻訳ミステリ応援団!」が興味深い内容でした。これは隔月連載のようで、田口俊樹氏と北上次郎氏がホストとなって、ゲストとして第1回は書評家、第2回は翻訳家な…

 『斧』 ドナルド・E・ウェストレイク, 木村二郎、文藝春秋、1997→2001

ウェストレイクのノンシリーズ。ウェストレイクは1933年生まれですから、64歳の時の作品。本作品は、とにかくリーダビリティが強くテンションが高い作品で、読んで損はない愉しい傑作です。カバーに「ハイスミスやトンプソンに比肩する戦慄のノワール」と紹…

 『死者はよみがえる』 ディクスン・カー、橋本福夫訳、東京創元社、1938→2000

ギデオン・フェル博士シリーズ23作中の8作目の長篇作品。カーは1930年に24歳で作家デビューですので、32歳のときの作品でしょうか。同年に代表作の一つの『曲がった蝶番』を発表しており、カー全盛期としてもよいでしょう。ストーリーの展開などに余裕が感じ…

 『銀河英雄伝説 1・2』 田中芳樹

SFとしても、ライトノベルとしても、評価の高いシリーズ。私は、高校時代から名のみは知っていたものの、もともとSF、とくにスペースオペラを苦手としていたため、手にとることはありませんでした。今回は、ライトノベルの名作として、また東京創元社で再刊…

 『バクマン。 4巻』『鋼の錬金術師 23巻』『のだめカンタービレ 22巻』『3月のライオン 3巻』

定期購入していたマンガが一気に発売されました。■『バクマン。 4巻』 大場つぐみ, 小畑健、集英社、2009 『ジャンプ』は新連載前に3話分のネームを書かせて会議にかけるのか…。新人なら当たり前か。バクマン。 4 (ジャンプコミックス)作者: 大場つぐみ,小…

 『少女には向かない職業』 桜庭一樹、東京創元社、2005→2007

タイトルから探偵ものかと思いきや、『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』の流れを受け継ぐいわゆるサスペンスものでした。 13歳の中学二年生の「あたし」こと大西葵は、人をふたり殺した、という告白から始まる。葵は、その殺人の経験から、「殺人者というのは…

『猟犬探偵』 稲見一良、光文社、1994→2006

猟犬を探す探偵「猟犬探偵」竜門卓を主人公にしたハードボイルド・ミステリの短編集。「トカチン、カラチン」「ギターと猟犬」「サイド・キック」「悪役と鳩」の4編を収録。都筑道夫の『くわえ煙草で死にたい』をはじめとする、西連寺剛シリーズにテイスト…

 『服用量に注意のこと』 ピーター・ラヴゼイ、中村保男・他訳、早川書房、2000

イギリスの謎解きミステリ作家ピーター・ラヴゼイの第三短編集。 収録作は、「そこに山があるから」「殿下とボートレース」「殿下と消防隊」「イースター・ボンネット事件」「クロンク夫人始末記」「勇敢な狩人」「大売り出しの殺人」「おしどり夫婦」「オド…

 『カーテンの陰の死』 ポール・アルテ、平岡敦訳、早川書房、1989→2005

犯罪学者アラン・ツイスト博士シリーズの第3作目。 冒頭で、あるオールド・ミスが「同じ下宿屋に住人が、殺人者と同じ目をもっている。おそらくもうすぐ殺人を犯すだろうから注意してくれ」と警察に訴えたが、警察は当然のごとく無視をした。しかし、ある夜…

 『双生児』 クリストファープリースト, Christopher Priest, 古沢嘉通訳、早川書房、2002→2007

『魔法』『奇術師』においてミステリファンを魅了したプリーストの現在のところの最新長篇。第2次世界大戦後のイギリスとドイツを舞台にした歴史改変SF小説。 『魔法』『奇術師』は少なくとも2度は読みましたし楽しめたのですが、本書は正直その面白さがよ…

 『青い花 1〜4巻』 『GIANT KILLING 11巻』

■『青い花 1〜4巻』 志村貴子、太田出版 最近、いくつかのアニメを視聴してるのですが、今期でもっとも面白いのが、この『青い花』。毎回、楽しみにしていたのですが、続きが気になってしまったための購入です。マンガを読んでみますと意外と描写があっさり…