ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2012-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『冬の灯台が語るとき』ヨハン・テオリン, 三角和代訳,ハヤカワ・ポケット・ミステリ,2008→2012

作者はスウェーデンのジャーナリスト。本書はデビュー作『黄昏に眠る秋』に続く第2作。表4に「スウェーデン推理作家アカデミー賞長篇賞、英国摺作家協会賞インターナショナル・ダカー賞、「ガラスの鍵」賞の三冠に輝く傑作ミステリ」と紹介されていること、…

『宮崎駿の世界』竹書房,2004

『ハウルの動く城』公開時に編集されたムック本。鈴木敏夫×石井克人、押井守×上野敏哉の対談、斎藤環、森川嘉一郎、山本直樹、氷川竜介、正木晃、小松和彦、米沢嘉博、村瀬学、安藤雅司×鈴木健一×村田和也の鼎談など、エッセイ・評論が詰め込まれています。…

『“文学少女”と月花を孕く水妖』野村美月,ファミ通文庫,2008

文学少女シリーズ第6作目の作品。文学少女・遠子の友人の姫倉麻貴がメインとなる物語。 夏休みに学園の理事良の孫の姫倉麻貴の別荘に呼ばれた遠子先輩、そしてその遠子に呼ばれた心葉。例によって麻貴の絵画のモデルとしてだった。あるとき、その別荘の近辺…

『五匹の子豚』アガサ・クリスティー, 山本やよい訳,ハヤカワ文庫,1942→2010

クリスティ32作目の作品。作品数が多いから初期〜中期ですかね。ポアロものです。16年前に父を毒殺した容疑で逮捕され、獄中で自殺した母は無実であるとその娘がポアロに訴えるところから始まります。 画家であるエイミアス・クレイルは、自宅屋敷から徒歩4…

『小説世界のロビンソン』小林信彦,新潮文庫,1989→1992.

本書は、タイトルから『地獄の読書録』と同様に、小林信彦氏の小説に関するエッセイ集と誤解をしそうですが、そうではなく「小説とはどうあるべきか」「面白い小説となどういうものか」を示した小説評論であり、あるいは小説宣言といってもよいでしょう。小…

『伊藤Pのモヤモヤ仕事術』伊藤隆行,集英社新書,2011

上記の新書大賞で第8位に選ばれたのが本書。「愛の貧乏大作戦」「怒りオヤジ3」「やりすぎコージー」「モヤモヤさまぁ〜ず2」などを手がけたテレビ東京のプロデューサーが著者。聞き書きと思われる軽い文体のなかに、いかに自分の好きな企画を通し、実現さ…

「発表! 新書大賞2012」『中央公論 2012年 03月号』2012

数年前の新書ブームと言われている頃から始まったと思しきこの企画ですが、ここのところどの新書がよいのか全くわからなくなってしまったので、このようなブックガイドはうれしいものです。新書通67名が厳選したベスト20が挙げられています。それでもあまり…

『風に吹かれて』パトリシア・ハイスミス, 小尾芙佐,扶桑社ミステリー,1992

卓越したサスペンスミステリ作家のパトリシア・ハイスミスの短編集。本書は、以下に示すように、おそらく代表作といえるほどのものは掲載されていないのですが、本書の解説をしている馬場啓一氏が指摘しているように、さまざまなシチュエーションとストーリ…