ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『幻惑の死と使途』森博嗣,講談社ノベルス,1997

S&Mシリーズ第6作目の作品。森氏の作品は読者を騙すことよりも整合性のある物理的トリックが成立することに重きを置いているため、わりあいトリックが想像できます。そこが物足りなく感じるところですが、信頼に足る作家であるともいえます。 オープニングか…

『日本妖怪異聞録』小松和彦,小学館ライブラリー,1992→1995

日本の妖怪のなかの主要な妖怪をやさしく紹介したもので、誰でも理解できます。酒呑童子、玉藻前、是害坊天狗、崇徳上皇、紅葉、つくも神、大嶽丸、橋姫の物語を紹介し、それを民俗学見地からルーツはどこにあるかを推理するという体裁をとっています。 たと…

『マンハッタン・オプI』矢作俊彦,ソフトバンク文庫,1981→2007

矢作氏のマンハッタンの名無しの探偵が主人公のショートハードボイルドミステリ集。正直言って、今の自分には意表を突かれる面白さでした。 私立探偵が主人公のハードボイルドミステリは、警察小説と異なり、マニアのみが好み、一般化されるまでに至りません…

『あなたを天才にするスマートノート』岡田斗司夫,文藝春秋,2011

インプットからアウトプットまで、自らの思考をどのように流していくか、かつ発展させていくにはどうしたらよいか、をノート術としてまとめたマニュアル。思考トレーニングをどのようにするのかが、非常に実用的なので、実行してみます。あなたを天才にする…

『シャッター・アイランド』デニス・ルヘイン, 加賀山卓朗訳,ハヤカワ・ミステリ文庫,2003→2006

デニス・ルヘインのサスペンスミステリ。わたしはルヘインは初読。探偵パトリック&アンジーシリーズは書評を読んで自分向きではないと思ったのですが、それでも最近第1作目を読み始めたところ、薄く細い書体のため見づらく最初の数頁で断念しました。目の調…

『リバースエッジ大川端探偵社 4巻』ひじかた憂峰, たなか亜希夫,日本文芸社,2012

9本の短篇が収録された短編集。依頼人がいて、探偵が依頼を引き受けて調査して、その結果を示す。探偵は、自らのコードを守りつつも、控えめに依頼人(クライアント)第一に行動する。一種の様式美であり、それが心を打たせます。ミステリ好きでしたら、逃す…

『暗い鏡の中に』ヘレン・マクロイ, 駒月雅子訳,創元推理文庫,1950→2011

英米黄金期以降に活躍したサスペンスミステリ作家ヘレン・マクロイの全31作中第11作目の作品。ですから決して初期作ではありませんね。本作は、早川書房から1955年にポケミスで、1977年に文庫化されたものを復刊したもの。長らくマクロイの最高傑作で、名作…