ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『デルタの羊』塩田武士,KADOKAWA,2020ーーアクシデントに翻弄されるアニメ業界

作者の塩田氏は,私にとって,いつの間にかデビューしていつの間にかベストセラー作家になってしまって,映画化などあったにもかかわらず,今まで手に取る機会がなかった作家。本書はネットインタビューでアニメ業界を舞台にした作品だということで,トリガ…

『ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる』東 浩紀,中公新書ラクレ,2020ーー組織を運営するには身体性がなくてはならない

『ゲンロン』という雑誌は知っていて,書店で手に取って「難しくてわからん」といったままで,本書の署名やインタビューから,てっきり出版社盛衰記だと思っていたけど,まったく違く内容だったにもかかわらず,一気に読むことができて,非常に面白かった。…

『法廷遊戯』五十嵐律人,講談社,2020ーー謎解きというよりもスリラー

作者は若き現役司法修習生であり,デビュー作にして『ハヤカワミステリマガジン ミステリが読みたい! 2021年度版』『このミステリーがすごい!2021年度版』ともに3位の作品。たしか出版時にメフィスト賞受賞作であり,講談社,書評家などが大型新人として絶…

『ミラクル・クリーク』アンジー・キム,服部京子訳,ハヤカワ・ミステリ,2019,2020

作者は11歳でアメリカに移住した韓国人で弁護士で,本作はデビュー作。弁護士らしく法廷もので,エドガー賞(アメリカ探偵作家クラブ賞),国際スリラー作家協会賞,ストランド・マガジン批評家賞の各最優秀新人賞を受賞した作品。 ストーリーは,韓国人の移…