ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2011-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『クリスマスのフロスト』R・D・ウィングフィールド, 芹澤恵訳、東京創元社、1984→1994

再読です。次々と翻訳される作品が年間ベストランキングの上位になる、フロスト警部シリーズの第1作目。本シリーズは、他のシリーズと比べて「異常に」楽しく面白いのは何故なのか。それを考えるための再読しました。 アレンは二度ほど深呼吸をしてから、椅…

『シュガータウン』ローレン・D.エスルマン, 浜野サトル訳,早川書房,1984→1986

デトロイトを舞台にした、私立探偵エイモス・ウォーカー・シリーズ第5作目の作品。ポケミスで最も早く翻訳された作品だったので、てっきり処女作だと思っていました。 オビに「チャンドラーの心を継ぐ正統派――私立探偵小説大賞受賞」とあり、まあこれは新鋭…

『物語の命題―6つのテーマでつくるストーリー講座』大塚英志、アスキー新書、2010

大塚氏の一連のストーリー作りマニュアルの一冊。マニュアル本や学習書というのは、学ぶ方のレベルに合わせなくてはならないため、そのレベルではない人にとっては役に立たず批判を浴びてしまうものですが、本書はストーリー作成の初心者のためのものとなっ…

『封印再度』森博嗣、講談社、1997

S&Mシリーズ第5作めの作品。岐阜県の旧家の高齢の画家が蔵の中で血まみれで死んでいた。殺人とも思われるが、蔵が密室であったことから自殺にも考えられた。その高齢画家の娘と友人であった西之園萌絵は事件に興味をもつ。昔、その高齢画家の父親も同じよう…

『ブラックペアン1988』海堂尊、講談社、2007、2009

本書はミステリではなく、ある大学病院外科学教室でのドラマです。1988年東城大学総合外科学教室に、帝華大学のビッグマウスの講師の高階が送り込まれてきた。高階は新しい外科器具を用いれば、食道がん手術を今まで以上に簡単に行えると主張し、佐伯教授ら…