ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2015-02-01から1ヶ月間の記事一覧

爆笑するショートショート群――『独創短編シリーズ 野粼まど劇場』野崎まど, 電撃文庫,2012,☆☆☆☆

24の短編+ショートショートですが、落ちを重点的にしているわけではなく、設定と展開の奇妙さが面白いものとなっています。例えるならば、筒井康隆氏の短編でしょうか。現代の新しい文章や活字による笑いの方法の一つがここにある、と断言してもよいでしょう…

『三つ目がとおる』に似ているのが嬉しい――『舞面真面とお面の女』野崎まど,メディアワークス文庫,2010,☆☆☆

『[映]アムリタ』でデビューした野崎まど氏の第2作目の作品。新本格系のミステリで、フェアプレイを重要視してません。工学部の大学院生の男が、祖父が病床で死ぬ直前に記した遺言らしき文言の意味を解いてほしいと、叔父から依頼を受けた。その文言は「箱を…

天才を描く――『[映]アムリタ』野崎まど, メディアワークス文庫,2009,☆☆☆★

最近、派手ではないものの話題となるライトノベルを次々に発表し、SFでも評価を受けている野崎氏のデビュー作。私は、『本の雑誌』の若島先生の評価で気になりました。なんとなく自分の感性に合っている作家ではないかと。 本書は、天才監督の創る映画そのも…

古本屋へ行くのは愉しい――『本棚探偵の冒険』喜国雅彦,双葉文庫,2005

古本好きの古書や本にまつわるエッセイ集。本好きならば共感持てる内容なので、本好きは必読です。文体が軽いのに、一編を読み終えると疲れが出てきます。おそらくは書名など固有名詞に対して一つひとつ引っかかりをもつからでしょう。 ちなみに以下は本日行…

仕掛けを考える――『キネ旬総研エンタメ叢書 アニメプロデューサーの仕事論』キネマ旬報映画総合研究所編,キネマ旬報社,2011

プロダクションI.Gの石川氏、ボンズの南氏、角川書店の安田氏、サンライズの内田氏、キングレコードの大月氏の5名のアニメプロデューサーの仕事がどういうものなのか訊いたインタビュー集。安田氏って本当に存在していたんだ、と驚きました。あまりにも多く…

『アニメを仕事に! トリガー流アニメ制作進行読本』舛本和也,星海社新書,2014

作者はアニメスタジオのトリガーのプロデューサー。アニメ制作においては、演出、作画監督に並ぶアニメの質に重要な役割にもかかわらず、あまり語られてきませんでした。本書はアニメの制作進行の役割とマニュアルを解説したものです。 私の興味としては、他…

『知らない映画のサントラを聴く』竹宮ゆゆこ,新潮文庫,2014

竹宮ゆゆこ氏の文庫書き下ろし新作。23歳の無職の女性が主人公のラブストーリーというよりも青春小説といったほうがよいと思う。新潮社では『とらドラ!』の社会人版のようなラブストーリーで注文したのかもしれないし、作者もその注文を受けたのだろうけど…

『人生相談。』真梨幸子,講談社,2014

新聞の人生相談コーナーをモチーフにした奇妙な話の連作短編集。 前もって、人生相談をネタにしたものぐらいの知識でしたので、1編目を読んで、そのあまりの短さに、もっと掘り下げられるネタなのにもったいない、と思いましたが、読み進むにつれて、人生相…