ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2013-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『法月綸太郎の新冒険』法月綸太郎,講談社文庫,1999,2002

「背信の交点(シザーズ・クロッシング)」「世界の神秘を解く男」「身投げ女のブルース」「現場から生中継」「リターン・ザ・ギフト」の短〜中編をまとめたもの。鉄道ミステリだったり、オカルト番組に関連した殺人事件など、ベーシックな事件を様々な視点…

『太陽の塔』森見登美彦,新潮文庫,2003→2006

未だに私にとっては森見氏は『夜は短し歩けよ乙女』の著者で、本作は日本ファンタジーノベル大賞を受賞したデビュー作。『夜は…』は非常に愉しんだので、他の作品も辿って読むつもりだったのが、どういうわけかこれまで時間が空いてしまいました。 主人公は…

『六人目の少女』ドナート・カッリージ, 清水由貴子訳, ハヤカワ・ポケット・ミステリ, 2009, 2013

2009年刊行のイタリア産サイコミステリ。ヨーロッパ各国で数々の賞を受けるなど評価を受け、ベストセラーになり、23カ国で刊行されたらしい。作者のドナート・カッリージは映画・テレビなどの脚本家になり、本書で作家としてデビューを果たしたとのこと。翻…

『犯罪』フェルディナント・フォン・シーラッハ, 酒寄進一, 東京創元社, 2009, 2011

一昨年に各ミステリベストアンケートで上位に挙げられていたドイツの短編集。「犯罪」にまつわるスケッチともいった作風で、ミステリというよりも文学に近い。アゴタ・クリストフや村上春樹の初期短編のテイストに似ているので、それらが好きな人にとっては…

『武器としての決断思考』瀧本哲史,星海社新書,2011

星海社の新しい新書シリーズの第1弾。新聞かウェブの書評でベストセラーになっているというのが頭に引っかかって、たまたま書店で見かけて購入したもの。著者は知りませんでしたが、東大→マッキンゼー→投資家という経歴らしい。内容は、人生において選択に迷…

『服従の絆――デイヴ・ブランドステッター・シリーズ』ジョゼフ・ハンセン, 菊地よしみ訳, ハヤカワ・ポケット・ミステリ, 1988, 1991.

ホモセクシュアルの保険調査員デイヴ・ブランドステッターシリーズ全12作中第10作目の作品。いよいよ残り少なくなってきました。デイブは保険調査員を体力の衰えなどから引退しようとしていたところから始まります。 多くの老朽船があるマリーナに船上生活…

『社会を変えるには』小熊英二,講談社現代新書,2012

著者の小熊氏は経歴をみると、東大農学部卒後、出版社勤務の後に、大学院に入ったと記述されています。人文系マイナー出版社かなと予想していましたが、ウィキペディアに公開されていましたね。ある意味王道ですね。大学院に入り直した編集者を二名知ってい…