ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『貧困女子のリアル』沢木文、小学館新書、2016

貧困というと生まれや環境からどうしようも対策を立てようもないものを浮かべますが、本書はそのなかの一部を記した11名のインタビュー・ルポで、誰もが一歩間違えれば陥るかもしれない事例でしたので、非常に興味深かった。筆者が女性のためか、男性著者の…

『錆びた滑車』若竹七海、文春文庫、2018ーー濃密でいくつかのストーリーが絡まる

実を言うと随分前に読んだのですが、どうも当時心が死んでいたらしく記録をすることができなかったものの一つです。ですので印象のみ記します。 葉村晶シリーズ第6作目の作品。ベテランとも言える作家がこのようなムダの少ない濃密でいくつかのストーリーが…

『聖女の救済』 東野圭吾、文春文庫、2008、2012ーーほとんど全編がハウダニットの推理小説

日本ミステリを読もうと思って手に出したのは、東野圭吾氏のガリレオシリーズの第4作目の作品で長編としては、『容疑者Xの献身』の次の作品に当たります。私としては発表当時の評判はまったく覚えていません。というか東野氏の作品はやたら評判がよいという…

『目くらましの道 』ヘニング・マンケル、柳沢由実子訳、創元推理文庫、1995、2007ーー謎解きミステリを警察小説で置き換える

クルト・ヴァランダー警部シリーズの第5作目の作品で、英国推理作家協会賞(CWA賞)最優秀長編賞作。代表作の一つといっていいでしょう。1995年発表でなんと20年以上前の作品で、いかにも当時流行ったシリアルキラー的な、斧で殺害し頭皮を剥がしていく犯人…

『裸のJリーガー』大泉実成、カンゼン、2018

主にJ3について、Jリーガーのセカンドキャリアについて、現状の報告と問題提起を目的にしたインタビュー集。J3の選手、町クラブのコーチ、森崎嘉之、安永聡太郎、西村卓朗、岡野雅行、磯貝洋光にインタビューを行っています。大泉氏も言及している通り技術を…