2023-01-01から1年間の記事一覧
書評で評価されて気になって、手に取って、翻訳者の解説を読んで、手に取りました。訳者は未訳のミステリを捜して読んで紹介しているようだけど、1957年生まれということはそこそこの年齢だから半分道楽なのか、それとも仕事をとる戦略なのか、わからないけ…
レイモンド・チャンドラーの長編5作目の作品で、村上春樹の新訳版。旧訳の『かわいい女』はずいぶん昔に複数回読んでいます。新訳はこんなに長かったかなと思うくらいページ数が増えている。『かわいい女』は薄かったからね。それでもストーリーはまったく覚…
アガサ・クリスティの第13作目の作品。比較的初期で、前後は『邪悪の家』と『オリエント急行の殺人』で調子がよいときといえるかもしれない。もっともクリスティの場合、スランプというのはなかったようだけど。 クリスティは私にとって、初めて感動した謎解…
ホーソーン&ホロヴィッツシリーズの第5作目の作品。いつもの通り、読者を裏切らない端正な謎解きミステリ。イギリスの芝居劇場を舞台としているので、クリスティの雰囲気もたっぷり。 ホロヴィッツはホーソーンとの共作を断ったが、ロンドンで始まった自分が…
ネットで紹介されて興味をもった新書。平山氏の小説の出版遍歴をまとめたもので、出版社・編集者・読者との距離の取り方を間違えていたものというもので、面白い。私は平山氏のお名前は知っていましたが読んだことがなかったということは、私の興味にひっか…
『テスカトリポカ』『爆発物処理班の遭遇したスピン』の佐藤究氏の新作。処女作から読もうと思っていましたが、書店で本作を見かけて好評との情報を得て購入。しかしエンタメではなく純文学でちょっとがっかり。『金閣寺』みたいな純文学、航空機パイロット…
初めての著者で、どの書評家も忘れてしまったけど、評判がよいこと、著者が横溝賞をとっていること、適度な長さの現代ミステリを読んでみたかったことなどから手に取りました。 時は2020年の最も最初のコロナ禍で緊急事態宣言でステイホームの真っ最中。一人…
高野氏の作品は久しぶり。私は処女作の『幻の怪獣・ムベンベを追え』が出版されたとき、『ミステリマガジン』のノンフィクション書評でたぶん西木正明氏が紹介していて当時に単行本で購入して以来読んでいる。本書もそれから変わらない手法で書かれたエンタ…
ブライトンの三笘選手がカタールワールドカップ後に出版した、自分がこれまで意識したことを書いたものだ。こういう書籍は自伝なのか、エッセイなのか、ノンフィクションといってよいのか迷う。スポーツノンフィクションがもっとも合っているのだろう。この…
どこかの書評か何かで気になり、Amazonの評価で気になり、手に取って「新感覚警察小説」の帯と、1958年生まれのグラフィックデザイナーの経歴の著者で気になって、手に取ったもの。今どきの新人はこのくらいフックがかからないと手に取らないね。 ソフトカバ…
京極夏彦氏の京極堂シリーズ(昔は「百鬼夜行シリーズ」ではなく、そういっていたはずだ)の17年ぶりの新作。相も変わらず分厚い新書を必死こいて時間がない中読みました。 最初『姑獲鳥の夏』から『絡新婦の理』まで、すべて傑作だったので、とんでもない天…
米澤穂信氏の「小市民シリーズ」第3弾の作品。ずいぶん前に買っていたものだけど何故か積読しっぱなしで、今回手に取ったのは偶然目にとまりました。 久々に読んだことになるけれど、こんなライトノベルらしいライトノベルだったかというのが第一の感想で、…
同時に『りぼん』の新人賞を受賞した3名の漫画家に対して、自らの漫画家としての軌跡をそれぞれインタビューしまとめたもの。少し前のものだけど三名三様のものがあり、とても面白い。 僕はどの作家に対しても、あまり読んでいない読者だけれども。例えば、…
作者のトム・ミードはこれが処女作。短編はいくつか発表しているらしい。本書はピーター・ラヴゼイの後押しを受けて出されたようです。ガチガチの謎解きミステリファンらしく、本書は両親とともにカーにささげられています。 舞台は1936年のロンドンで心理学…
著者はボランチのサッカー日本代表選手。流通経済大-川崎F-サンタクララ(ポルトガル)を経て、現在スポルティングに属する。ワールドカップ後のユーチューブでの戦略を具体的に語っていたインタビューが印象的で興味をもつ。 「ずる賢さ」=マリーシアという…
2022年のエドガー賞(アメリカ探偵作家クラブ賞)最優秀長篇賞受賞作。戦時中の物語で避けていたけど、ハードボイルド臭が強い小説と紹介されていたこと、非常に評判が良かったことで読んだけど、久々の傑作ミステリでした。 とにかく文章が読みやすい。三人…
本作は、新人作家のデビュー作にして、2022年度アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞受賞作。舞台は1985年のネブラスカ州の田舎町で、アメリカ田舎町がこれで2冊連続だけど、女子高生が失踪したところから始まる。といっても探偵も警察の捜査を描くわけでは…
タイトルに惹かれたのと、現代ものであるのと、2021年度アメリカ探偵作家クラブ賞(MWA賞)候補作なのだからある程度面白い作品だろうと期待して手の取った作品。タイトルは、3月14日=円周率の日に、数学教師のアダム・マークルの焼死体が発見されたという…
テレビなどに出演したりするクイズプレーヤーが主人公で、クイズ番組の最後のクイズで、クイズが出される前に正答したプレーヤーがどのようにして正答したかを、その相手のプレーヤーが探るミステリ。なるほど、このような「謎」の提示の仕方もあるのかと驚…
新刊発行当初、確かネット上で評判がよかったとして、池袋のジュンク堂書店の1Fで全面展開の販売がされていた作品。4つの短編が収められている短編集で、ネタは古き杯に新しい酒を注いだような感じで現代的でキレキレで、ある程度分量がある短編にもかかわら…
本作も昨年のミステリランキングで評判がよかった一作。作者の白井氏はまったく知らなかったが、ウィキペディアによると1990年生まれだから若干33歳でめちゃくちゃ若い。経歴をたどるとかなり過去作もかなりの評価を受けています。 タイトルから新本格系かと…
大塚氏のクリエイターブックスについてはネタがもうないのかなと思っていたが、まんが原作の方法という大きいテーマがあったわけです。とはいっても、普通の漫画原作作成方法ではなく、書名に「原論」とついているように、まんが原作の定義から解説されてい…
昨年、ベストミステリランキングを軒並み1位をとった作品。都内に爆弾をしかけたテロリスト・スリラー。Amazonではノンストップミステリと評価されていたので久々に味わいたいと思って購入したけど、結局は自分の忙しさのため断続的な読書になってしまいまし…
フランスで複数の賞を得るなど評判を得たサイコ・サスペンス・ミステリ。ジェローム・ルブリの第3作めの作品。 新聞記者のサンドリーヌ・ヴォードリエは、祖母の訃報を受けて、祖母が住んでいた孤島に渡った。その孤島に着くと、戻る交通路は10日後となると…
ホーソーン&ホロヴィッツシリーズの第4作目の作品。読むのに時間がかかってしまいました。どうも読書時間を確保するのが難しい。 ホーソーンとホロヴィッツは、新作の出版のプロモーションとして、イギリスとフランスの間にあるオルダニー島で行われる文芸フ…
本書は,英国推理作家協会賞最優秀長篇賞で書評の評判がよく手にとったが失敗した。各種ランキングで評価を受けているから,万人に受ける作品化と勘違いしていた。 ミステリ好きには2種類いて,これは「あちら側」の人が好きなミステリだった。だいたいこれ…
マイク・クレイヴンの3作目の作品。本書の解説にもあるとおり,第1作・第2作とも極上の謎解きミステリであったが,本作は異なった。 事件が起こり,少しの手がかりをもとに,謎が解けて新たな(なぜ早川書房では「あらたな」とひらくのだろう?)謎が生まれ…
『テスカトリポカ』で第34回山本周五郎賞,第165回直木賞を受賞した作家の8本の短編を収めた短編集。才能ある作家には一冊傑作短編集があるけれど,本書はめったにない,その一冊。8本すべてがバラエティに富んでいて愉しめる。☆☆☆☆☆というところです。ちょ…
宮内悠介氏の謎解きミステリで評判がよいという情報以外まったくもってなかったなか読んだら,明治時代の作家,詩人などの文化人の集まりの会が舞台で,そこで出された謎を舞台の西洋料理店の女中があっけなく解くという黒後家蜘蛛の会の日本版で驚いた。 し…