ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『時計館の殺人〈新装改訂版〉(上)(下)』綾辻行人,講談社文庫,1991,2012

綾辻氏の「館シリーズ」の第5作目の作品。第1作目から工夫を凝らしていましたが、本書でもさらに新味と工夫を加えています。 鎌倉にある統計屋敷――日本有数の時計メイカーの前会長・古峨倫典が建築家・中村青司に設計を依頼した館で、通称「時計館」と呼ばれ…

『グロービスMBAクリティカル・シンキング  改訂3版』(グロービスMBAシリーズ)、グロービス経営大学院、ダイヤモンド社、2012――問題解決には構造を把握する

ブックオフの功績の一つとして、それまで古本で扱ってこなかった分野の書籍を古本として流通させたことといわれています。ビジネス書の分野がそれにあたります。いまはアマゾンが大きく占めていますが。私もビジネス書は興味なかったのですが、今頃になって…

『0ベース思考---どんな難問もシンプルに解決できる』スティーヴン・レヴィット、スティーヴン・ダブナー、櫻井祐子訳、ダイヤモンド社、2014、2015

本書はタイトル買いです。筆者のひとりが『ヤバい経済学』の著者。ビジネス書という予想に反して、本書はエッセイ集といった趣でした。先入観をもたずに考えることが必要だということですが、そのノウハウが欲しかった。事例として小林尊氏が挙げられていま…

『これからの「正義」の話をしよう』マイケル・サンデル,鬼澤忍訳,ハヤカワ・ノンフィクション文庫,2009,2011

NHKの番組で評判になったハーバード大学の講義の教授であるサンデル氏のベストセラーになった哲学書。番組を文字起こしした書籍だと思っていたので、リアルタイムでは手に取らなかったのですが、やたらブックオフに置かれたいるので(表紙が目立つ)、手に取…

『赤めだか』立川談春,扶桑社文庫,2008,2015

立川談春氏の自らの入門から真打ちまでの修業時代についてのエッセイ集。とにかく語り口がうまく、するする読むことができる。すぐれた作品がそうであるように、エッセイ、青春小説、業界小説、師匠と弟子の小説など、さまざまな視点で読むことができる。タ…

『ピアノの森(26)<完>』一色まこと、モーニング KC、2015/『げんしけん 二代目の十(19)』木尾士目、アフタヌーンKC、2015

■ 『ピアノの森(26)<完>』一色まこと、モーニング KC、2015 ようやく最終巻。雑誌連載でも読んでいましたが、アレはやっぱりミスリーディングじゃあないでしょうか。 ピアノの森(26)<完> (モーニング KC) 作者: 一色まこと 出版社/メーカー: 講談社 発売日: …

『裏切りの明日―結城昌治コレクション』結城昌治、光文社文庫、1975、2008――時代を超えられず

さまざまなミステリを書いた結城昌治氏の初期~中期の作品。解説によると1965年発行で50年経っています。 主人公は独身の31歳の沢井という刑事です。沢井は普段は真面目な刑事で、かつ、仕事のこと、女のこと、金のことなど、さまざまな闇を抱えています。あ…