ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『生ける屍の結末――「黒子のバスケ」脅迫事件の全真相』渡邊博史,創出版,2014

『黒子のバスケ』脅迫事件の犯人の手記。さまざまな意味で興味深い内容となっています。 構成は大きく3つに分けられており、1章が事件の概要で、どのようにして犯行を行ったのかを詳細に語っています。2章が「裁判で明らかにかったこと」として、なぜこのよ…

『黒い風に向って歩け』マイクル・コリンズ, 木村 二郎訳,ハヤカワポケットミステリ1433,1971,1984ーー読者サービス満点のハードボイルドミステリ

隻腕探偵フォーチューン・シリーズの第4作目の作品。このシリーズは、私立探偵小説の王道すぎて、隻腕があまりストーリーに影響を与えていないけれど、非常に歯ごたえがあります。とくに本書は、ストーリー展開が目まぐるしく、それに加えてちょっとしたニヤ…

『騙されてたまるか―調査報道の裏側』清水潔,新潮新書,2015

『桶川ストーカー殺人事件―遺言』『殺人犯はそこにいる』の清水潔氏が、自ら行った調査報道について、コンパクトに示した新書。面白かったのが、清水氏が三人称では書けず、一人称でどうにか書けるようになったといっているところ。 騙されてたまるか 調査報…

『毎日新聞・校閲グループのミスがなくなるすごい文章術』毎日新聞・校閲グループ 岩佐義樹,ポプラ社,2017

書店でジャケ買いしてしまった本。最近、校正作業に悩んでいて、つい手に取ってしまいました。正しい文章とはどういうものであるのか、その指針をあらためて示してくれて、とても参考になりました。 毎日新聞・校閲グループのミスがなくなるすごい文章術 作…

『失踪者』シャルロッテ・リンク, 浅井 晶子訳,創元推理文庫,2003,2017ーーリーダビリティあふれるドイツのベストセラー小説

今年出版された新刊です。しかし原著は2003年なのか、ずいぶん前のようです。ドイツのベストセラー作家で、解説によると日本では宮部みゆきにあたることらしい。 舞台はイギリスで、幼馴染の結婚式に海外へ渡るために、エレインはヒースロー空港に行ったが天…