ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『片眼の猿―One-eyed monkeys』道尾秀介,新潮社,2007→2009

やはり本書は、人間を描くミステリというよりも、あくまでも変格謎解きミステリだと思う。いや、この頃では変格というよりも王道かもしれない。なぜならば、読者をどのようにしてびっくりさせるかを目的にしているミステリだからだ。だから評価できる。 新宿…

『謎解きはディナーのあとで』東川篤哉,小学館,2010

書店の店頭で、帯の「47万部突破!」に惹かれて購入しました。東川氏の作品ははじめて。大企業の令嬢で刑事の宝生麗子お嬢様が捜査を行い、その執事の影山という若い男が推理をするというパターンの6本の連作短編ミステリ。トリックそのものはオリジナリティ…

『疑惑の影』ジョン・ディクスン・カー, 斎藤数衛訳,早川書房,1949→1982

弁護士パトリック・バトラーが主人公でかつフェル博士が登場する謎解きミステリ。カーの書く主人公でバトラー弁護士がいるというのを本書で初めて知ったのですが、バトラーはフェル博士やHM卿のような謎解き中心の役目ではなく、行動を起こし裁判で勝つとい…

『キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる』佐々木俊尚,筑摩書房,2011

タイトル通り、既存のマスコミのみならず、ツイッター、フェイスブックなどによる情報のやりとり・統合・つながりが行われ、それが力をもつようになる、いやすでになっているというもの。著者には申し訳ないけれど、主張は全面的に賛同しつつ、これはやっか…