ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『とらドラ! 3巻』『青い花 5巻』

アニメ放送で知ったマンガ2作。しかし今期は面白いアニメがないなあ。まあ見てはいるのですが……。■『とらドラ! 3巻』竹宮ゆゆこ, 絶叫, アスキー・メディアワークス, 2010/01 1年ぶりの新刊。いったい何時終わるんでしょう? 10年はかかりますねえ。原作通…

『薔薇は死を夢見る』レジナルド・ヒル, 嵯峨静江訳,早川書房,1983→1985

ダルジール警視シリーズ第7作目の作品。昔はヒルの良さがわかりませんでしたが、『闇の淵』から理解できるようになったみたいです。じわじわ流れる日常が少しずつ変化して、ある時に世界がグンニャリしてしまうような感覚を味わうことができ、それが病みつ…

『トーキョー・プリズン』柳広司,角川文庫,2006→2009

舞台は第二次世界大戦後の日本。ニュージーランド人の私立探偵エドワード・フェアヒールドが、スガモプリズンで起こった密室の殺人事件を捜査する物語。といっても、収監されている戦犯でかつ記憶喪失のキジマという男が推理するのだけど。また、キジマの戦…

『世界が指摘する岡田ジャパンの決定的戦術ミス〜イタリア人監督5人が日本代表の7試合を徹底分析〜』宮崎隆司,コスミック出版,2010

これは面白かった。こういう分析本を待っていた。一気読みしました。日本代表の7試合をイタリア人監督5名が徹底分析したもの。昨年か一昨年の『Number』でイタリア人の戦術オタクの代表や浦和レッズなどのゲーム分析がやたら面白かったので、本書にも同じ…

『海街diary 3巻 陽のあたる坂道』吉田秋生,小学館,2010/02

吉田秋生氏の新作第3巻です。私は1・2巻とも評しており、とくに2巻のときは最大級の評価をしたのですが、本巻になって、もう「すごい」としか言いようのない作品となっています。ミステリでも萌えものでも、ある種のとんがっている部分がないと面白く感…

『盲目の理髪師』ディクスン・カー, 井上一夫訳,創元推理文庫,1934→1962

ギデオン・フェル博士が探偵役のシリーズ23作中4作目の初期作。私が読んだのは1997年32版のものですが、とにかく字が小さくて読むのが大変でした。読んでも読んでも先へ進まない感じ。ストーリーそのものも何の話をしているのか焦点があっていない感じがして…

『伊藤潤二の猫日記よん&むー』伊藤潤二,講談社,2009/03

ホラーマンガ家伊藤潤二氏が新居を購入して「よん」と「むー」という猫エッセイ。私は伊藤潤二氏の作品の良い読者ではないのですが(一番好きなのは『双一シリーズ』だったりする)、本書はたまたま池袋ジュンク堂で試し読みで購入。動物マンガにもあまり興…

競馬題材に推理小説 ディック・フランシスさん死去

ディック・フランシスが亡くなったとのニュース。残念で哀しいといえば哀しいし、年齢的に大往生ならば良かったと思う。 ディック・フランシスの作品を初めて手にとったのが、高校2年のときで『本命』だった。『本命』の霧の中から馬が駆ける音が響く印象的…

『ハマースミスのうじ虫』ウィリアム・モール, William Mole, 霜島義明訳,東京創元社,1955→2006

植草甚一が責任編集をつとめた翻訳ミステリ叢書「クライム・クラブ」の第1回配本だった作品。長らく評論のみで知られていたけど文庫などで復刊されなかったため、幻の作品といわれていたもの。私が最初に知ったのは、別冊宝島の『ミステリーの友』でどなた…

『相棒 Season 8』「第14話 堕ちた偶像]

ななみという少女が、夜マンションから駐車場に向かう途中に、見知らぬ男に声をかけられ、走って逃げたところ自転車にはねられ腕を骨折し入院した。少女が言うには、追いかけてきた男は政治家の江嶋代議士だという。 興味をもった右京と神戸は、そのマンショ…

『相棒 Season 8』「第13話 マジック」

右京と環はマジシャンのミスター・アキのマジックショーを見に行った。そのショーで真っ暗になる舞台上にドサッという音が響き、ライトがつくと死体が転がっていた。その死体は、アキの弟子の澤田という男で、掌に三本の切り傷があった。そのマジックは瞬間…

『capeta(カペタ) 21巻』曽田正人,講談社,2009/12

『capeta』を読むたびに、いつも『デビルマン』に似ているなあ、と思う。それはストーリーそのものではなくて、過剰に説明することがなく、ギリギリまで絞ったネーム、シーンとシーンのつなぎ方こと。ちなみに、同様に感じるのは、森脇真末味さんもだ(いっ…

『狂人の部屋』ポール・アルテ,平岡敦訳,早川書房,1990→2007

時は1930年代。ハリス・ソーンは、あかずの間と呼ばれる部屋を開放した。その部屋は、100年前にハリスの大叔父のハーヴィーが身もだえして死んだ部屋だった。ハーヴィーは、昼夜こもりきりで原稿を執筆し、その原稿は狂人が書いた予言めいた物語と呼ばれ家族…