ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2013-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『家族の違和感・親子の違和感―精神科医が読み解く「幸・不幸」』春日武彦,金子書房,2010

精神的に病んだり問題のある人とその家族に焦点をあてて書かれたエッセイ集。タイトルの「違和感」にあるとおり、その違和感を切り口にすえていて、新しい分類法になっているような感じがします。例えば、「コントロール願望」という言葉。自分をコントロー…

『3,1,2とノックせよ』フレドリック・ブラウン, 森本清水訳,創元推理文庫,1959,1960

巻末の解説によると、ブラウン18冊目の推理小説。原著発行の1959年の翌年の1960年に翻訳出版されているということは、当時いかに人気があったかが分かります。原著が出版されたら自動的に翻訳していたのでしょう。タイトルもいかにもヒッチコックの映画のよ…

『なめらかな社会とその敵』鈴木健,勁草書房,2013

各方面の書評で尋常ではない評価を受けていたので読んでみましたが、内容と用語が難解で十全に理解したとはいえません。というわけで、私は、もし「なめらかな社会」が訪れたらどうなるのか、SF小説として読みました(著者もSFの原案をしていたことがあるよ…

『想像ラジオ』いとうせいこう,河出書房新社,2013

朝日新聞の書評で絶賛されていたので興味をもって購入。いとう氏の作品は初めてです。私にとって、いとう氏で思い出すイメージは、永倉万治の文庫の解説なんです。『ホットドッグプレス』の編集時代のお話でした。 本書なのですが、38歳の男がパーソナリティ…

『リガの犬たち』ヘニング・マンケル, 柳沢由実子訳,創元推理文庫,1992,2003

ヘニング・マンケルの刑事ヴァランダー・シリーズ第2作目の作品。リガとはラトヴィアの首都のこと。ラトヴィアといえば、先日、サッカーの親善試合を行い日本が敗北した国で、ワールドカップ予選で好調な国であるという認識しかなかったのですが、バルト三国…

『人形館の殺人』綾辻行人,講談社文庫,1989,1993

綾辻行人氏5作目の作品。それにしてもこれが1980年代の作品なんですねえ。(細部はともかく)大枠ではまったく古びていないのが凄い。本書まで綾辻氏の作品を読んでの綾辻氏の特徴は、ミステリはフェアプレイではなくてはならない、ということです。 ミステ…