ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『猫の舌に釘をうて』都筑道夫、徳間文庫、1961、2022ーー二重・三重の設定の謎解きミステリ

都筑道夫の長編ミステリ第2作目の作品。『やぶにらみの時計』と同様に短かったので、連続して読んだ。本作は昔読んだのだけど、まったく記憶にありません。初読とまったく同じです。発表はジャプリゾの『シンデレラの罠』の前年であり、オリジナリティがバリ…

『やぶにらみの時計』 都筑道夫、徳間文庫、1961、2021ーートリッキーな二人称小説

分厚い小説が続いたので、短期間で読み終えられる小説ということで、また都筑道夫の初期長編が徳間文庫で再刊されていたので手に取りました。 二人称の小説で、ストーリーとは言うと、朝起きてみると、妻や友人が自分のことを別人の名前で呼ぶという謎から始…

『グレイラットの殺人』 M・W・クレイヴン 、東野さやか訳、ハヤカワ・ミステリ文庫、2021、2023ーースリラーと謎解きの融合

クレイヴンの4作目の作品。ワシントン・ポーのシリーズ最新作です。前作までは謎解きミステリ一直線でストーリーに二転三転ありましたが、本作ではスリラー的要素も含んだものとなっています。しかし、事件を盛り込みすぎている感じがして、本筋になかなか入…

『頬に哀しみを刻め』S・A コスビー、加賀山卓朗訳、ハーパーBOOKS、2021、2023ーーよくできたアメリカ映画の原作

新人作家コスビーの第2作目の作品。アメリカ映画っぽい、息子を殺された父親二人のバディが犯人を捜しまわる復讐+ノワールもの。 以前、第1作目の『黒き荒野の果て』を読もうと手にとってけれど、視点がコロコロ変わって読みづらくで最初の方であきらめてし…