ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『泣き虫弱虫諸葛孔明 第伍部』酒見賢一,文藝春秋,2017ーー孟獲戦は俺TUEEE系の元祖かもしれない

酒見版・諸葛孔明の最終巻。益州南部の平定と北伐、そして孔明の死を記しています。とにかく面白いのですが、最初から比べるとちょっと真面目に語ってしまっています。 本書を読むまで、孔明が戦下手だったというのは気が付きませんでしたね。それまでは負け…

『“天才”を売る―心と市場をつかまえるマンガ編集者』堀田純司,KADOKAWA,2017

若手からベテランまで8名のマンガの編集者のインタビュー集。どのように編集者として働いているかを語っていますが、いずれの編集者に共通しているのが、各々のスタイルは異なるということ。それじれが弱みや強みがあるし、特徴も異なるのだから、同じ言葉で…

『名作コピーに学ぶ読ませる文章の書き方』鈴木康之、日経ビジネス文庫、2008

最近、文章についての本を少しずつ読んでいますが、その一つとして、古本屋で見かけたもので、まったく作者のことも知らなかったのですが、ほかの文章の書き方マニュアルと異なり、たくさんの広告・コピーを列挙することが特徴で、これが本書を読んでいると…

『夜よ鼠たちのために』連城三紀彦,宝島社文庫,1986,2014

連城氏の比較的初期のミステリ短編集。「二つの顔」「過去からの声」「化石の鍵」「奇妙な依頼」「夜よ鼠たちのために」「二重生活」「代役」「ベイ・シティに死す」「ひらかれた闇」の9編が収録されていて、一つひとつが様々なトリックが仕掛けられていて、…

『空が灰色だから 1~5巻』 阿部共実,少年チャンピオン・コミックス,2013

『ちーちゃん』の他の作品を読みたいと購入したもの。ちなみに池袋の某大型書店には在庫がなかったのでネット購入です。難しいですね、なかなか。 主に中学・高校生を主役にした短編集。作家の負担の大きい、人気をとれそうもない新人作家の短編の連載を少年…

『ちーちゃんはちょっと足りない』阿部 共実,少年チャンピオン・コミックスエクストラもっと!,2014ーー少年少女時代のすでに忘れてしまったものを思い出させる

ネット上で紹介されていて内容に興味をもったマンガで、ウィキペディアによると、「2014年に第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞を受賞。宝島社『このマンガがすごい!』2015年版オンナ編の第1位作品」と評価されておりました。私はタイトルさえ知り…

『過去の傷口』スティーヴン・グリーンリーフ,黒原敏行訳,ハヤカワ・ポケット・ミステリ1672,1997,1999

私立探偵ジョン・タナー・シリーズ全14作中第12作目の作品で最晩年といえます。このシリーズはパズル的なハードボイルドミステリをキープしているので、つまらないということがありません。 タナーの友人のサンフランシスコ市警の警部補・チャーリー・スリー…