ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2009-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『相棒 Season 8』「第6話 フェンスの町で」

ある郵便局が単独で襲撃され強盗された。警察は、犯人のスムーズな行動に専門的な訓練を受けた者と判断した。しかし、犯行後すぐに設置した検問に引っかからなかったことから、犯人が逃げ込んだところは「フェンス」、つまり米軍基地の向こうと思われ捜査は…

『処刑宣告』ローレンス・ブロック, 田口俊樹,二見書房,1996→2005――詩情あふれるコラムとミステリの融合

マット・スカダー・シリーズの第14作目(解説では13作目とあるけれど多分間違いですね)。人気コラムニストに届いた裁判等で有罪を免れた者を処刑するという予告状通りに起こった3つの連続殺人事件。その予告を受けた弁護士より依頼を受けたスタガーである…

『向日葵の咲かない夏』 道尾秀介,新潮社、2005→2008

道尾秀介氏の第2作目の作品。書店をのぞくと文庫でじわじわ売れているようです。 幻想小説と謎解き小説の折衷をいくミステリ小説。文体や世界観などは京極夏彦氏のようでもあり、技巧的なところは折原一氏のようでもあり、トリックそのものは歌野氏のある作…

『相棒 Season 8』「第5話 背信の徒花」

ローカル電車の市販されたビデオに偶然映っていた男は、右京には見覚えのある男だった。5年前の9月16日に失踪し霞ヶ関のビルから飛び降り自殺した国土建設省の官僚の三島晃だったのである。三島は何故間宮駅に赴いたのか、そして何故翌日に自殺したのか?…

『となり町戦争』三崎亜記,集英社,2005→2006

発表されたとき好評を得たとはいえ、面白いと思う人と面白くないという人というように、かなり読者を選ぶ小説だと思う。僕は読書中は作者の意図が見え見えで面白いと思わなかった。読後、アマゾンのレビューをみると賛否両論である。まあしようがない。とな…

『相棒 Season 8』第4話「錯覚の殺人」

錯覚の研究の第一人者である大学教授の好田は、ロックバンドのセットの搬入会社に紛れて、テレビ局に侵入し、総務部に勤める山名と無人のスタジオで落ち合い、山名を階段から突き落とし殺した。その後急遽戻って、11時30分にテレビ番組収録に入った。 偶然、…

 『死の跳躍』ジェレマイア・ヒーリイ, 菊地よしみ訳,早川書房,1988→1991

私立探偵ジョン・カディ・シリーズ第4作目の作品。私は、ヒーリイの作品を一作しか読んでいません。著者は、ニューイングランド法律学校ボストン校法学教授で、カディは知性派探偵とうたわれていても、私立探偵スペンサー・シリーズの影響を受けていると聞…

『実録闇サイト事件簿』渋井哲也,幻冬舎,2009

タイトル通り、闇サイトをもとにする事件を集めたルポルタージュ集。「闇の職安」名古屋OL拉致殺害事件、闇のハローワーク妻殺害未遂事件、なんでも屋サイト嘱託殺人事件、ネット掲示板家族殺害依頼事件、駆込寺殺人依頼事件などの殺人依頼サイト、自殺系サ…

『ルポ 内部告発 なぜ組織は間違うのか』村山治, 奥山俊宏, 横山蔵利,朝日新聞出版、2008

前回までマンガが続いていましたが、今回は一転して久しぶりの新書です。新書といえば、このところベストセラーが現れず苦戦しているかな、もうブームは終わりかなと外野の立場から危惧したりしていたら、勝間氏のコミュニケーションの技術書や香山リカ氏の…

『神のみぞ知るセカイ 6巻』と「ラブプラス」――ゲーム初心者の戯れ言

■『神のみぞ知るセカイ 6巻』若木民喜,小学館,2009 最近、ネットでの評判に感化されて「ラブプラス」を購入したんですよ。恋愛シミュレーションゲームなんて、したことがないんですけど、一度ぐらいは経験しておいてもいいかなと思って。今まで何故か、そ…

『リバースエッジ大川端探偵社 1巻』――狩撫氏の探偵物の復活

あの名作「ハード&ルーズ」以来の狩撫麻礼氏の「探偵物」! プラス、「迷走王 ボーダー」で組んだ、たなか亜希夫氏とのコンビの復活! もうそれだけで十分にお腹いっぱいの新作です。ファンでしたら、満足できるものとなっています。 禿の老〜中年男が所長…