ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『憎悪の化石』鮎川哲也,元推理文庫,1959→2002

鮎川哲也の長編第5作目の作品。第13回日本探偵作家クラブ賞受賞作。端正な謎解きミステリです。 熱海の旅館で外出せずに長逗留していた、湯田真壁という男が、その旅館の部屋で心臓を2回刺されて殺されたところを発見された。湯田の残していた鞄の中身から、…

『トラブルなう』久田将義、ミリオン出版、2011

著者は、あの『実話ナックルズ』元編集長。私は『実話ナックルズ』をほとんど読んでいないのですが、まあ編集者のトラブルへの対応方法を知りたい思って購入。「はじめに」に著者の言葉として「編集者とは恫喝、脅迫、恐喝、暴力、拉致、などに耐えうる者の…

『死にぎわの台詞』レジナルド・ヒル, 秋津知子訳,早川書房,1984→1988

ダルジール警視シリーズ第8作目の作品。ある11月の夜、三人の老人が殺害された。一人は入浴中に頭から打撲や切り傷を受けて血を流して湯船に横たわっていたところを発見された。もう一人は、自転車に乗って車にはねられた。彼も頭部を殴られ、切り傷をもっ…

『看守眼』横山秀夫、新潮社、2004→2009

横山氏のバラエティ短編集。「看守眼」「自伝」「口癖」「午前五時の侵入者」「静かな家」「秘書課の男」の6編。それぞれ読ませてくれます。とくに、小市民的というか、他人には大した苦悩ではないのですが、本人にとっては大変な苦悩を体感させてくれます。…

『脳の科学史―フロイトから脳地図、MRIへ』小泉英明,角川マーケティング,2011

著者はMRIやfMRIなどを開発してきた脳科学の第一人者。私も学会などで何度か講演に参加してきて、一度は著者として依頼してみたいと思っていました。最初の講演内容は忘れてしまいましたが、感動したことだけは憶えています。 本書は、脳科学の歴史を俯瞰し…

『バースへの帰還』ピーター・ラヴゼイ, 山本やよい訳,早川書房,1995→2000

ピーター・ダイヤモンド警視シリーズ第3作。英国推理作家協会賞シルヴァー・ダカー賞受賞作。私は、『最後の刑事』『単独捜査』を読んでいると思うのですが全く内容の記憶がありません。ダイヤモンドのキャラクターの造形がチグハグで、はまらないなあと感じ…