ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2018-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『家蝿とカナリア』ヘレン・マクロイ、深町真理子訳、創元推理文庫、1942、2002

ヘレン・マクロイの全28長編作中、第5作目なので初期の作品。主人公は精神分析学者のベイジル・ウィリング博士。 マクロイはサスペンス作家だと思っていたので、本書の謎解きど真ん中ぶりには驚きました。 内容はというと、ある演劇劇場の公演中、その登場人…

『ソロモンの偽証』宮部みゆき、新潮文庫、2012、2014ーー『アクロイド』の一歩先を進むミステリ

宮部みゆき氏の文庫にして6冊の長編ミステリ。12月25日の雪あかりの朝、一人の男子中学生の死体が学校で発見された。警察により自殺として処理されたのだが、彼の死は同級生の3名の不良によって学校の屋上から突き落とされて殺されたという告発状が学校、担…

 『そしてミランダを殺す』ピーター・スワンソン、務台夏子訳、創元推理文庫、2015、2018ーー殺人は癖になるのか

書評などで評判がよかったサスペンスミステリ。 誰もが思う通り、空港で出会った男女がそれぞれ交換殺人を検討するところからはじまるように『見知らぬ乗客』に似ています。 もう少しキャラクターが立っていればよかったのですけど、でもそうするとリアリテ…