ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2011-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『原発・正力・CIA―機密文書で読む昭和裏面史』有馬哲夫、新潮社、2008

CIAに現存する「正力ファイル」に記録された、日本にどのようにして原発が導入されたか、その経緯を述べたもの。佐野眞一氏の傑作『巨怪伝―正力松太郎と影武者たちの一世紀』から引き続いて読むと面白さ抜群です。『巨怪伝 外伝』といってもよいでしょう。 …

『わが職業は死』P.D.ジェイムズ, 青木久恵訳,早川書房,1977→2002

ジェイムズの第7作目の作品。ダルグリッシュ警視長もの。読み飛ばしをしてしまったためか、ラストシーンが唐突のように感じてしまい、☆☆☆というところ。密室トリックをどう評価するかでしょう。トリックはいたって平凡ですが、伏線はきちんと張られているの…

『ゴールデンタイム 第3巻 仮面舞踏会』竹宮ゆゆこ, 駒都えーじ,アスキーメディアワークス,2011

竹宮ゆゆこ氏の新作。うーむ、新作を楽しみに待っているなんてこのシリーズだけだな。このシリーズは、『田村くんシリーズ』や『とらドラ!』と比べると、作者が何を狙いにしているか、いまいち伝わって来ません。少しもどかしい感じがします。 主人公の多田…

『重力ピエロ』伊坂幸太郎、新潮社、2006

本作は伊坂氏の四作目の作品にして出世作。それまでマニア筋に注目を浴びてはいたものの、ミステリファンにまでは浸透していませんでしたが、本作でミステリファンに認知されました。さらに編集担当者がつけたと思われる印象的なオビにより、一般の人々にま…

『そして赤ん坊が落ちる』マイクル・Z.リューイン, 石田善彦訳、早川書房、1988→1997

リューイン11作目の作品。主人公がソシアル・ワーカー(ソーシャル・ワーカーのことでしょう)のアデル・パフィントンという女性で探偵役となっています。 アデルは民間の福祉事務所に勤めていた。ある夜、アデルが仕事をしていたところ若い強盗の男が侵入し…

『JAL崩壊』日本航空・グループ2010、文藝春秋、2010

日本航空の現役・OBの客室乗務員が、社内の実情を暴露したものとして、面白そうかなあと思い購入したものの、この程度の崩壊状況はどの会社にもあることじゃないの、と進めば進むほど訝しく感じました。まあ、爆笑本です。複数の著者が執筆しているのですが…

『13階段』高野和明、講談社、2001→2004

このほど直木賞の候補になった高野氏の江戸川乱歩賞を受賞したデビュー作。歴代の乱歩賞のなかでも評判が高く、映画化もされています。 傷害致死で2年間服役していた27歳の三上が出所した。しかし、三上の犯罪による損害賠償金のため家族は借金を背負い、決…