ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

コミックエッセイの効用――『わが家の母はビョーキです』中村ユキ,サンマーク出版,2008/『わが家の母はビョーキです2 家族の絆編』中村ユキ,サンマーク出版,2010

てっきりタイトルから毒親関係かなと思って手に取ったのですが、統合失調症の関連書でした。このような面白いエッセイコミックを読むと、エッセイコミックがしっかり一分野として確立されてるのがわかります。親子の物語であるとともに、夫婦の物語であり、…

『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか(上)(下)』増田俊也,新潮文庫,2011,2014

戦前から戦後にかけて柔道日本一として君臨した柔術家の木村政彦の一生涯を追っていったノンフィクション。第43回大宅壮一ノンフィクション賞、第11回新潮ドキュメント賞受賞作で、非常に読み応えがあります。優れたノンフィクションには読者に幾通りもの読…

『漫画版 野武士のグルメ』久住昌之=原作, 土山しげる=画,幻冬舎,2014

久住氏のエッセイを原作に土山氏が漫画化した作品。久住氏といえば『孤独のグルメ』、土山氏といえば『喧嘩ラーメン』『食キング』などの店商売としてのグルメコミックです。美味しそうに食べるシーンには、喉を鳴らさせるような独特の魅力があります。その…

体験が感覚を変える――『日本人には二種類いる――1960年の断層』岩村暢子、新潮新書、2013

『普通の家族がいちばん怖い』の岩村氏の1960年以前に生まれた人、1960年以降に生まれた人の生育・社会などの環境による「体験」が全く変わってしまったため、まったく異なる日本人のタイプが存在することを論理展開した本です。 期待して読んだのですが、19…

『ヨーロッパ文化と日本文化』ルイス・フロイス, 岡田章雄訳注,ワイド版岩波文庫,2012

信長の時代にイエズス会宣教師ルイス・フロイスが、文化的なことから風俗的なことまで、ヨーロッパと日本と相違点をシンプルにまとめた資料的価値があるもので、拾い読みするだけでも面白いです。 たとえば「2 ヨーロッパ仁は大きな目を美しいとしている。…

『仮面ひきこもり――あなたのまわりにもいる「第2のひきこもり」』服部雄一、角川oneテーマ21,2014

池袋ジュンク堂の1階の新刊コーナーに売れている本の一つとして置かれていた新書です。ジュンク堂の新刊コーナーは新刊を出版したからといって無条件に置かれるわけではないんです。前著がベストセラーになったか、賞を受賞したか、書評などで評判を得たか…