ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『円周率の日に先生は死んだ』ヘザー・ヤング、不二淑子訳、ハヤカワ・ミステリ文庫、2020、2023ーー構成のトリックは不発

タイトルに惹かれたのと、現代ものであるのと、2021年度アメリカ探偵作家クラブ賞(MWA賞)候補作なのだからある程度面白い作品だろうと期待して手の取った作品。タイトルは、3月14日=円周率の日に、数学教師のアダム・マークルの焼死体が発見されたという…

『君のクイズ』小川哲、朝日新聞出版、2022ーー謎の提示が魅力的

テレビなどに出演したりするクイズプレーヤーが主人公で、クイズ番組の最後のクイズで、クイズが出される前に正答したプレーヤーがどのようにして正答したかを、その相手のプレーヤーが探るミステリ。なるほど、このような「謎」の提示の仕方もあるのかと驚…

『#真相をお話しします』結城真一郎、新潮社、2022ーー新しい酒を新しい皮袋に盛る

新刊発行当初、確かネット上で評判がよかったとして、池袋のジュンク堂書店の1Fで全面展開の販売がされていた作品。4つの短編が収められている短編集で、ネタは古き杯に新しい酒を注いだような感じで現代的でキレキレで、ある程度分量がある短編にもかかわら…