ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『憑霊信仰論――妖怪研究への試み』小松和彦、講談社、1994

サブタイトルにあるとおり妖怪研究の鳥羽口になった論文集。さまざまな文献とフィールドワークから表面的な物事の裏に何が現象として生じているかがきわめて論理的に述べられており、まるでそれは名探偵が推理を披露するかごときのものです。かつ新しい分野…

『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』スティーグ・ラーソン, ヘレンハルメ美穂, 岩澤雅利訳,早川書房,2005→2008

話題のスウェーデン産ミステリ。陰謀+推理物で展開はオーソドックス、エンタメど真ん中の作品。発売当初の書評では自分には合わないとスルーしていたのですが、その後の評判の良さに、また一般での無視のされっぷりに、逆に興味をもちました(でも、それは…

『涼宮ハルヒの分裂』谷川流, いとうのいぢ,角川書店,2007/『涼宮ハルヒの驚愕 初回限定版(64ページオールカラー特製小冊子付き)』谷川流, いとうのいぢ,角川書店,2011

涼宮ハルヒシリーズ最新作。『分裂』の発行が2007年、そして続編の『驚愕』が2011年と4年後にようやく発行されたものです。 ハルヒ・シリーズは人気があるわりには、ドラマというか、なんと言ったらよいか、派手な展開やアクションが多くありません。ハルヒ…

『月刊アニメスタイル 第1号』グッドスマイルカンパニー、2011/05

「とらドラ!」の特集のための購入。インタビューが中心で、すごい読み応えのある雑誌でした。『アニメスタイル』ってどこかで見たことがあるような…と少し調べてみたら、2号で一度中断していると知って、ずいぶん前に盛岡に杉井ギザブロー氏のインタビュー…

『門番の飼猫』E・S・ガードナー, 田中西二郎訳,早川書房,1935→1977

ここ数年、自分が読みたいミステリ小説がなくなって探すのに難儀しています。一匹狼で貧乏な私立探偵、あやしげな依頼人、失踪人や宝物の探索、真実か嘘か分からない供述をする関係者への聞き取り、そして意外な犯人というシンプルなストーリーを読みたいと…

『凡人として生きるということ』押井守、幻冬舎、2008

『勝つために戦え!〈監督篇〉』と『勝つために戦え!〈監督ゼッキョー篇〉』がやけに面白く、今でもたびたびつまみ読みをしているので、それに似た本書を購入したわけで。オヤジ論、自由論、勝敗論、セックスと文明論、コミュニケーション論、オタク論、格差…