ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『悪の教典』貴志祐介、文春文庫、2010、2012ーー一気読みできる超弩級のエンタテインメント小説

私は貴志氏の作品はあまり合わないようで、あまり読んでいません。本書もベスト1を取るくらいなので気になってはいたのですが、どうも自分には関係ない作品のような気がして、今の今ままでまったくノー知識で読んでしまったら、あらあら驚き、こんな超弩級…

『天啓の殺意』中町信、創元推理文庫、1982、2005ーー時代を超えるということ

中町信の第6作目の作品。もとのタイトルは『散歩する死者』で創元推理文庫になるときに改題された。読んでみると、当時の欧米の謎解きミステリを知った上で、それを乗り越えていく野心的な作品でした。中途が退屈だったのが残念ですが。というわけで☆☆☆★とい…

『マイホームヒーロー 第1巻~第7巻』山川直輝原作、朝基まさし作画、ヤングマガジンコミックス、2017~2019ーー先読みをまったくさせてくれない作品

私が歳をとったせいだろうか、主人公に共感してしまって、連載の1回めから目を離せない作品。とともに、先読みをまったくさせてくれない作品。少々ずるい部分もあるけれど、読者に先を読ませないためには、こうすればよいという見本を見せてくれる。 40代の…

『アナバシス―敵中横断6000キロ』クセノポン、松平千秋訳、岩波文庫、紀元前370年代、2002ーー脱出はエンタメの基本ですね

近所の図書館の新入荷コーナーに置いてあったのをたまたま拾い上げて読んでしまったノンフィクション・ノベル?(そこには三島由紀夫の現在の新潮文庫の活字の大きさにリメイクされた『午後の曳航』もあった) 手にとった理由は、「クセノポン…どっかで聞い…

『アマゾンの料理人―世界一の“美味しい”を探して僕が行き着いた場所』太田哲雄、講談社、2018

先日、「激レアさんを連れてきた。」で放送された料理人の自伝的エッセイ集。内容的には「激レアさん」というよりも「クレージージャーニー」に近いけど、著者が非常に楽天的で、普通の人なら苦労としてじくじく記せるところをさらっと「こんなことがあった…

『拳銃使いの娘』ジョーダン・ハーパー、鈴木恵訳、ハヤカワ・ミステリ1939、2017、2019

人気脚本家のミステリ小説デビュー作で、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞受賞作。好意的な書評が多かったことと、最近のミステリにしては薄かったので手に取りましたが、わたしにはダメだった…。こういう、あえて破滅に向かっていく筋書きって昔は好き…