ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『スリップに気をつけて』 A・A・フェア,宇野利泰訳,ハヤカワ・ミステリ 426,1957,1958――脅迫者を捜すラム

バーサ・クール&ドナルド・ラム・シリーズ全29作中、17番目の作品。 パーティで酔っ払った男が、若い女と一緒にホテルに行って、その女との情事がばれたくなければ金を払え、という脅迫の手紙が届いたので、どうにかしてほしいという依頼があった。その脅迫…

『沈黙の町で』奥田英朗,朝日文庫,2013,2016――中学時代は自由のないきつい世界 ☆☆☆☆

久しぶりの奥田英朗氏の作品。本作は新聞連載時から評判を知っていて、いつか読もうと思っている内に時間が経ってしまいました。奥田氏の作品は、ギャグも良いけれど、犯罪小説系でしたら読みたいと思うので、本作のような構成・タッチで、エルロイのような…

『緋色の囁き』綾辻行人,講談社文庫,1993,1997ーー名門女子高の寮の連続殺人事件

綾辻氏の第4作目の作品(出版リストが出ているあとがきは便利だね)。本書が出版された当時、私は社会派には興味を持っていなかったものの、新本格派には入れ込んでいませんでした。それでも、『館シリーズ』の謎解き派が、本書のような謎解きとは別のミステ…

「特集 2016新書大賞」『中央公論 2016年 03 月号』2016

毎年行われている、新書大賞ですが、すっかり忘れていました。こういうのは、なるべく追っかけておきたいですね。 まあ毎年書いていることですが、最近の新書は読み応えがあるものがなく、もっとある事柄の基礎文献となるものが欲しいです。昔のリメイクでも…

『森を抜ける道』コリン・デクスター、大庭忠男訳、ハヤカワ ポケット ミステリ、1992、1993ーーなぜ失踪した女子学生を探す詩が送られてきたか?

コリン・デクスターのモース主任警部シリーズ・全13作中に第9作目の作品。残りは少なくなってきました。本作は、英国推理作家協会賞ゴールド・ダカー受賞作ということは、トップの作品ですね。トリックそのものは、そういう作品です。 休暇でホテルに滞在し…

『メタクソ編集王―少年ジャンプと名づけた男』角南攻、竹書房、2014ーー『ヤングジャンプ』の作り方

『少年ジャンプ』で立ち上げから編集を、『ヤングジャンプ』でも立ち上げから編集し、10年間編集長を担当し、その後、白泉社に移籍し『ヤングアニマル』に携わった名編集者のインタビューによる自叙伝です。これまで、『少年ジャンプ』はどのように編集され…

『砕け散るところを見せてあげる』竹宮ゆゆこ、新潮文庫nex、2016――少年が少女を助ける物語

竹宮ゆゆこ氏の新潮文庫2作目の作品。書店で見かけて、帯の文句と推薦文に惹かれて購入しました。「小説の新たな煌めきを示す、記念碑的傑作」と編集者に書かせる作品なのか……と。 あまりじっくり進む内容ではないので、他の書籍を挟みながら、少しずつ読ん…