ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2013-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『盤上の夜』宮内悠介,東京創元社,2012

表題作の短編「盤上の夜」で第1回創元SF短編賞山田正紀賞受賞、それに加えて「人間の王」「清められた卓」「象を飛ばした王子」「千年の虚空」「原爆の局」の5短編を加えて短編集としたものが本書。本書で第147回直木賞候補、第33回日本SF大賞(これは「盤上…

『リハビリの夜』熊谷晋一郎,医学書院,2009

『新潮45』で第9回新潮ドキュメント賞を受賞した自叙伝に近いノンフィクション。著者は脳性まひ者で身体の不自由をかかえ、東大医学部に入学、医師になった。現在は臨床を少なくし研究がメインなのでしょうか。 まあ迫力のある内容で、自らの身体の動きと精…

『64(ロクヨン)』横山秀夫,文藝春秋,2012

横山氏の執筆期間を長くかけた新刊で、このミステリーがすごい!および週刊文春ミステリーベスト10で第1位を獲得するなど非常に評判がよい作品です。 警察署の広報官が主人公で、17年前の未解決の誘拐殺人事件にからむ署内の権力争い、不祥事に対する記者クラ…

『斧でもくらえ』A・A・フェア, 砧一郎訳,ハヤカワ・ミステリ文庫,1944,1987

本書には解説がなく「A・A・フェア著作リスト」が掲載されており、それによると本書はドラルド・ラム&バーサ・クール・シリーズ全29作(そんなにあるのかよ!)中、9作目の作品。読む前は、比較的初期だから悪い作品ではないのだろうと予想。 太平洋戦争戦線…

『ゴールデンタイム6―この世のほかの思い出に』竹宮ゆゆこ, 駒都えーじ,電撃文庫,2013

前の巻で事故で終わってしまったところで、ハチクロと同じ展開でシリアスモードに入るのかなと思っていたら、本巻でコメディ+日常モードにきちんと戻って安心しました。というところで、私は本シリーズを見誤っていたのでしょう。『とらドラ!』のような作…

『マンハッタン・オプII』矢作俊彦,ソフトバンク文庫,1985,2007

以前、本シリーズの第1作目を読みましたが http://d.hatena.ne.jp/hoshi-itsu/20121021 、本書はその第2作目の作品。ニューヨークを舞台にした名無しの探偵が主人公の、短編あるいはショートショートともいってもいい16篇収録したハードボイルド短編集です。…