ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『テレプシコーラ/舞姫 第2部3巻』『GIANT KILLING 12巻』

定期購入の2作品。どちらもマンネリかなと思いつつ。■『テレプシコーラ/舞姫 第2部3巻』山岸凉子,メディアファクトリー,2009 前巻に引き続きローザンヌコンクール。いろいろ伏線が張られています。テレプシコーラ(舞姫) 第2部 (3) (MFコミックス ダ・ヴィ…

『相棒 Season 8』「第3話 ミス・グリーンの秘密」

マンションの一室で野村寛という若い男が鉄パイプで頭部を撲殺された。野村は麻薬密売人の池上という男ともめているのを目撃されていたので、そのためかと思われた。たまたま、そのマンションのベランダにスズランの花の模様のオルゴールが捨ててあったこと…

『異人論―民俗社会の心性』小松和彦,筑摩書房,1985→1995

〈異人殺しのフォークロア〉をキー・コンセプトにした論文集である古典。「異人」とは「民俗社会の外部に住み、さまざまな機会を通じて定住民と接触する人びと」(13ページより)のことをいいます。その異人殺しをメインとした民話を元に、どのような民俗だ…

 『相棒 Season 8』「第2話 さよなら、バードランド」

山奥の温泉旅館の一室で広田という男が撲殺された。広田は、20年前から行われている大学時代のジャズ研の3年に一度の集まりに参加し、旅館の一室で仕事をしていたところ背後から殴られたのである。偶然、特命係の二人はその旅館に宿泊しており、捜査を始め…

 『犬はどこだ』 米澤穂信、東京創元社、2005→2008

米澤穂信氏の第6作目の作品。調査事務所〈紺屋S&R〉を主要舞台とした作品で、第1作目の予定のこと。 「私」こと25歳の紺屋長一郎は、仕事のストレスで体調を崩したため、故郷に戻り、犬探し専門の調査事務所を開業した。その準備をしていると、高校時代の…

サラ・パレッキーが語るアメリカの出版事情の変化

『ミステリマガジン 2009年8月号』のサラ・パレッキーの「沈黙の作家の時代」という自伝に興味深かった箇所がありましたので、転載。ちなみに「沈黙の作家の時代」は連載で、8月号は連載5回目。来年に単行本化されるとのこと。 1980年代にアメリカの出版業界…

 『メアリー‐ケイト』 ドゥエインス・ウィアジンスキー, 公手成幸訳、早川書房、2006→2008

一言でいうのならば、ノンストップ・アメリカン・コミック・ミステリ。それが、成功しているか、成功していないか微妙なところ。 空港のバーで隣に座った若いブロンドの女が、「あなたのドリンクに毒をもったわ」といきなり告げられたジャック。その毒でまも…

『幽霊の2/3』 ヘレン・マクロイ, 駒月雅子訳,東京創元社,1956→2009

ニューヨーク地方検事局の精神医の顧問ベイジル・ウィリング博士を探偵役にすえた全13作シリーズの11作目の作品。私にとって初のヘレン・マクロイです。いやあ、こんなによい作品とは思いませんでした。 出版社社長宅で行われたパーティで、その出版社の看板…

 『相棒 Season 8』「第1話 カナリアの娘」

いよいよ「相棒」のシーズン8が始まりました。シーズン7のレベルがあまり良くなかったので、今シーズンには期待したいものです。 ロンドン帰りの右京を迎えた神戸は、成田空港からの帰りに、警視庁を表示している白バイが自動車を止めて職務質問をしている…

『ライトノベル作家のつくりかた―実践!ライトノベル創作講座』浅尾典彦, ライトノベル研究会,青心社,2007

とにかく編者がもつ「ライトノベル作家を作ることができる」ということを伝えたい想いと熱気が伝わる良書。5人のライトノベル作家のインタビューから始まるのですが、その一人も読んでいない私にも、その内容が面白いのですから。編集が同人誌的なノリなの…

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』 伏見つかさ, かんざきひろ, アスキーメディアワークス,2008

タイトルに惹かれて購入したライトノベル。17歳の男子高校生が主人公で、彼には茶髪でピアスの雑誌モデルもこなす女子中学生が妹にいるが、ここ数年口をきいていない。そんな妹に人生相談があると、ここ数年来入っていない妹の部屋に呼ばれるのだが…というコ…

 『“文学少女”と繋がれた愚者』 野村美月, 竹岡美穂,エンターブレイン,2006

文学少女シリーズ第3弾。今度は、武者小路実篤『友情』をモチーフにした物語。 遠子が学校の図書館から借りてきた『野菊の墓』の1ページが切り裂かれなくなっていた。その犯人を捜してみたところ、心葉のクラスメートの芥川だった。一方、来るべき文化祭で…

 『犬の力』 ドン・ウィンズロウ, 東江一紀訳、角川書店、2005→2009

「ニール・ケアリー・シリーズ」でおなじみのウィンズロウの新訳。私にとっても、『ストリート・キッズ』『仏陀の鏡への道』以来です。『ボビーZの気怠く優雅な人生』など購入はしているのですが積ん読になってしまって…。 本書は、メキシコよりアメリカに流…