- 作者: 金子雅臣
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2006/02/21
- メディア: 新書
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サブタイトルにもあるように,セクハラをする男の意識について解説したもので,意外にも面白かったですね。著者の金子雅臣氏については,まったく知らなかったのですが,著者紹介を読みますと「東京都勤務で長年にわたり労働相談の仕事に従事する一方,社会派のルポライターとして活躍」し,ホームレス問題について日本で初めて提起したとありました。私が無知だっただけですね。
著者は,長年東京都の労働相談にたずさわって,多くのセクハラの被害者・加害者の「あっせん」(何でひらがななんだろう?)し,紛争当事者の間に入り,双方の言い分を聞いて合意点を見いだし,実際の解決に導いてきたとのこと。本書は,その双方の主張をそれぞれプロセスレコード風にレポートしたものです。
その,被害者である女性と加害者である男性の,同じ事実なのに主張がまったく異なるところが面白いです。何故異なるのか。それは,男の勘違いということなんです。
でも,こういう自分にとって身勝手なことしか考えない人って,結構いますよ。これがひどくなると人格障害といってもいいですね(本書では,人格障害の可能性までは触れていませんけど)。こういう相手のことを自分の都合の良いようにしか感じない人って,結構,押しが強いから,それが良い方に作用して営業の仕事ができることがあるんですよね。昔,そういう人がいて「どうして,そんな図々しく嘘というか口からでまかせが言えるのかなあ」とあきれたことがあります。
ところで,読んでいて,『ヒルダよ眠れ』を思い出してしまいました。『ヒルダ…』は20年ぐらい前に読んだものですが,まだ憶えているということは相当面白い作品だったと言うことでしょうね。そういえば今度文庫が復刊されるという広告を『ミステリマガジン』で見たような気がしますが…。