ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎,新潮社,2007(○)

ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバー

 本書がミステリかどうか,そのようなジャンル分けは意味がないかもしれないけど,未読の方に一応説明すると,追跡型のスリラー小説としていいのかなと思う。私は,伊坂氏の作品はいくつかしか読んでいないけど(『砂漠』は人から借りたまま,まだ読んでいません…),本書はそのなかでも,あまり面白い方ではありませんでした。これは,私と伊坂氏の相性が悪いのでしょう。私の要望としては,もっと素っ頓狂な設定,ストーリーが欲しいというところですね。

 この作品に対して,けっこう辛かったのは,読んでる途中,ロバート・リテルの『スリーパーにシグナルを送れ』が頭の中にチラチラちらついていたからですね。『スリーパー…』は,ケネディ大統領の暗殺事件を扱ったもので,本作品も首相暗殺事件で似ていますしね。『スリーパー』が暗殺事件が起こるまでを書いたもので,『ゴールデン』は暗殺事件が起こってからを書いているものですが。伏線を収斂させるというのでしたら,『スリーパー』ぐらいとまではいかないまでも,もっと拾って欲しかったなというのがあります。私の誤読かもしれませんが…。