ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

 『GIANT KILLING (4)』綱本将也/ツジトモ、講談社、2008

GIANT KILLING 4 (4) (モーニングKC) (モーニング KC)

GIANT KILLING 4 (4) (モーニングKC) (モーニング KC)

■独特な余韻を抱かせる

 監督が主人公のサッカーマンガということで評判になっていますね。そういうのに興味をもち、面白さを理解できるのは、『サカマガ』『サカダイ』を読んでいるような、どこかしらのサポだけなんじゃないかなと思ってましたが、意外や意外、評判がよいようですね。あえて戦術を描いていないせいなのかな? 私には、監督がどんなサッカーをしたいのか、それがわからなくて不満なんですけどね。

 このマンガが成功している理由は、ストーリーが第一なのは当たり前ですが、ツジトモ氏の絵柄に追うところが大ですね。彼は、原作者が描いていないこともチョロっと挿入しているんじゃないですかね。それを網元氏がみて、そのテイストを加えている、というような、原作者と絵師のうまいサイクルが働いているように感じます。本当はそうじゃないかもしれませんが。

 この第一話を『モーニング』で読んだとき思い出したのが、松本大洋氏の『ストレート』という野球マンガ。絵柄も、線が太めでイラストっぽくテイストが似ているのですが、まあそういうマンガは今までもあったものなんですけど、『GIANT KILLING』に関しては、松本氏がもっていた、「間」が似ているのに感心しました。

 「間」というのは、説明しづらいのですが、コマとコマの時間の流れ方、シーンの切り替えなどに生じる余韻ですかね。その余韻が、どこか、ゆったりした感じを抱かせる。それが心地よかったですね。それは、ツジトモ氏の功績だと思うんですよね。

 でも、最近はそれが鼻につき過ぎているように感じます。2話あるいは1話に、ここぞというときに、決めてくれるだけでいいんですよね。