ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

 『グロテスク〈上・下〉』桐野夏生、文藝春秋、2003→2006(○+)

グロテスク〈上〉 (文春文庫)

グロテスク〈上〉 (文春文庫)

グロテスク〈下〉 (文春文庫)

グロテスク〈下〉 (文春文庫)

■このグロテスクな世界をサヴァイブするということ
 ミステリではありませんが、検索するときのために、分類上はミステリとしました。ミステリ臭が強いエンタテインメント小説、あるいは文学でしょう。読み進んでいくと、主人公のわたし(名前は付けられていません)が、この世界をいかにサヴァイブするかを苦心して実行に移していくところは、太宰治の『人間失格』を想起させます。そういう意味で、本書は、高校生ぐらいの課題図書としてもよいかと思います。