ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

 『覆面作家は二人いる』北村薫、角川書店、1997

 単行本の発行が平成3年ということは、今から18年前になる。北村薫氏は今まであまり面白いと思ったことがなったのですが、薄い短編集が読みたいと思って手にとったわけで、そんなに期待していなかったのですが、これがまた上質のコメディで面白く★★★★です。参った参った。本書だって、以前でしたら、おそらく面白く思わなかったに違いないのですが、私が変わったのでしょう。だって、「円紫」シリーズも、主人公の女子大生の私が「気持ち悪いなあ」と感じていたのですから。

 主人公は『推理世界』の編集部の岡部良介。ある日、編集部に送られてきた短編ミステリの作者は新妻千秋という。岡部は、先輩編集者がちょっと面白いから会ってきなさいと命令され、しぶしぶ住所に行ったところ、大富豪の19歳のお嬢様だった。小説を書いた理由を聞いたところ「お金がほしかったんです」とすっとぼけたことを言う。そこで、警察官の双子の兄に聞いた、女子高の学生寮で起きた少し謎のある殺人事件について話したところ、千秋は興味をもって…。

覆面作家は二人いる (角川文庫)

覆面作家は二人いる (角川文庫)