帝都歌劇団のファンかつ団員のパトロンで女社長の山極が、自分のマンションの自室において死体で発見された。死因は、入浴後に扇風機の強風を長時間浴びたことによる急性心不全だった。第一発見者は、当日山極に呼ばれてきた、帝都歌劇団の男装の麗人役で山極のパトロンを受けていた荊城、新しく援助を受けることになっていた帝都歌劇団のスターの淀、帝都歌劇団の専務の矢橋の3人だった。
山極が着ていたバスローブに扇風機の風向きをみるとつくとは考えづらいバラの花粉に不信をもった右京は、当初病死とされていたことに、事故を装った殺人であると推理する。
捜査を行うと、山極は荊木にタレントスクールを任せるはずだったが、淀に変更したらしいこと、事件当日のエレベーターの防犯カメラに背の高い黒いコートの人物が映っていたこと、矢橋と淀は付き合っていたことなどがわかった。さらに、淀は荊城の4年先輩であること、3カ月前に装置を担当している佐々木という男が歌劇団を辞め自殺していたことなどから、彼らの過去に犯人の糸口ではないかと考える。
犯人像に、もう一ひねりあってもいいのではないか。途中で「あれ?」という台詞があり、犯人がわかってしまった。それでも、死体を発見した3人を容疑者として、真相は別のところにあるというのは平凡な出来で、☆☆☆といったところ。