原題が『The Silent World of Nicholas Quinn』で、コリン・デクスターの第3作目の作品。もちろん、モース主任警部シリーズ。
海外学力検定試験委員会の一員のニコラス・クイン氏が、青酸カリによって毒殺されたところを自宅で発見された。ニコラス・クインは極度の難聴だった。モースは、クインの死亡時刻を決定し、同僚たちのアリバイを洗って捜査を続けるのだが、みなオフィスにおらず、アリバイがなかった…。
僕は、コリン・デクスターの魅力がまったく分からず、普通の謎解き小説として楽しんでるため、どうもよしあしが分からない。この文庫の解説は、瀬戸川猛資が書いており、本作はともかく、デクスターを絶賛している。これがよく理解できない。それで、デクスターを避けた人は結構いるんじゃないか。僕は、改めて読んでみて、普通の謎解き小説として楽しむことができると思うのだけど。
あと、これは、レジナルド・ヒルのときも思ったんだけど、三人称他視点、つまり神の視点で、謎解きミステリの謎を解くのは、なんとなく力が抜けるから、やめてほしいなと感じる。本作でも、冒頭に、ニコラス・クインが委員会の選挙を通るシーンがあるのだけど、それはモースには知りえないことだから、それを読者が知ってしまうとアンフェアな感じがする。そんなことを思うのは僕だけかもしれない。
というわけで、最後の推理の段階で、あんなどんでん返しをするところをみると、この作品の犯人は、誰でもいいんじゃないの? と白けちゃったところで、☆☆☆ですね。
- 作者: コリンデクスター,大庭忠男
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1990/12
- メディア: 文庫
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