ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

 『象と耳鳴り』 恩田陸、祥伝社、1999→2003

 謎解きミステリ連作短編集。収録作は、「曜変天目の夜」「新・D坂の殺人事件」「給水塔」「象と耳鳴り」「海にゐるのは人魚ではない」「ニューメキシコの夜」「誰かに聞いた話」「廃園」「待合室の冒険」「机上の論理」「往復書簡」「魔術師」の12編。

 読んでいてしばしば脳内に浮かんだのが、アイザック・アシモフの「黒後家蜘蛛の会」シリーズ。大仰に不可思議な謎を提示するのではなく、会話の断片や写真や他人の行動など、日常に潜む何気ない事象について、矛盾や謎をなんとはなしに導き、その理由を導き出す手法がとても似ていて、読後感も近いものをもちました。☆☆☆★です。

象と耳鳴り―推理小説 (祥伝社文庫)

象と耳鳴り―推理小説 (祥伝社文庫)