新潮ミステリー倶楽部賞を受賞した伊坂氏のデビュー作。以前から興味はあったものの、なぜか出会いがなく、これまで未読でした。
主人公は伊藤という若い男。彼は仙台から遠く離れたところにある牡鹿半島の南に位置する荻島という小島へ、見知らぬ男に案内されて連れてこられた。その島は不思議なことに本土との交流が江戸時代からなく、一人の男が出入りしているのみだった。また、荻島には、嘘しか言わない男、悪人を拳銃で撃ち殺す男、それを許す住人など奇妙な人々が住んでいた。そのなかで、江戸時代に作られ、しゃべったり予言をしたりしており、そのことを島民に信頼されている案山子に案内された。その案山子は伊藤が荻島に来ることも予言していたのだ。ある夜、その案山子が地面から引き抜かれ壊されてしまった。未来がわかるはずの案山子はなぜ殺されたのか?
冒頭から中盤まで状況の説明のみでストーリーがなく退屈でした(このへんがデビュー作ですね)が、中盤を過ぎたころから最後まではサスペンスも出てきて面白かったです。なんといっても、やはりあの案山子はなぜ殺されたのかという謎解きは、ウルッときてしまいました。謎解きの条件も一種のSFミステリとして成立しており、少し甘く☆☆☆☆というところです。
- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/11/28
- メディア: 文庫
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