ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『夏期限定トロピカルパフェ事件』米澤穂信,東京創元社,2006

 いわゆる、小市民たるべく振る舞おうとする高校2年生の二人の男女を主人公にする小市民シリーズ第2作目の作品。第1作目を読んでいますが全くストーリーの記憶がありません。主人公二人の面影が頭に残っているだけです。本作品は、4本の連作短編の形をとり、序章と終章を加えて、長篇の形になっているなど凝った作りになっています。まず、短編で一つの事実を提示して、最後にもう一つの事実を提示するというわけです。

 高校2年生の小鳩くんは、友だちの小山内さんに夏休みの間、町内のお菓子屋さん巡りをして欲しいと頼まれた。そのお菓子屋さんマップには「小山内スイーツセレクション・夏」と書かれ、ベスト10、ベスト10選外ランクA、ランクBと30店が示されている。しぶしぶと引き受けた小鳩くんは、小山内さんが席を立ったすきに、多く出されたスイーツを思わず食べてしまい、それをごまかそうとするのだが……。という、ところから開始し、小鳩くんの友人がからみ、そして小山内さんの誘拐事件が起こる……。

 謎解きミステリ風サスペンス小説というのか、どうなのか。なんとなくジャプリゾのような感じもします。短いところもジャプリゾ風か。真相は少し無理があるような感じもするけど、スピーディな展開と極めてシンプルそうでいながら、ストーリーも凝っており☆☆☆☆です。

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)