87分署シリーズの第35作目の作品。今調べたら全シリーズ53作あるのかあ。まだまだ先まであるのだなあ。第1作目を読んだのは高校生の時で、その時はあまりのリーダビリティの高さにポンポン読んでいたけど、いつしかマクベインの美文調がうっとうしく感じてしまい、まったく読むことができなくなった時期がありました。
アイソラを襲う熱波は一週間続いていた。そんななか、あるアパートで薬を大量に飲んで自殺した男が発見され、キャレラが捜査に当たった。87分署では自殺も殺人も同様に捜査を行われているのである。キャレラは電話の記録をみると、男が死んでいるはずの時間帯に通話をしている記録が残されていたことがわかった。自殺ではないのではないかと疑うキャレラは、あるはずの指紋がないこと、男の大いなる遺産が男の妻にではなく画商をしている友人に残されていたことを丹念に調べ上げ、さらに殺人ではないかと疑惑を深めていく。一体犯人は誰なのか?
これがメインストーリーですが、一方、バート・クリングはモデルをしている妻との仲が悪くなっていることに悩んでいて、それらが時間的に交互に進んで、読者が飽きないように語られていきます。とはいうものの、派手さはなく、古いアイデアを新しい器にもったものに過ぎず、エンディングはドキドキしたものの、☆☆☆というところです。評価が厳しめなのは、私が精神的に疲れていて十全に愉しめなかったためです……。
- 作者: エドマクベイン,井上一夫
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1990/10
- メディア: 文庫
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『幽霊』エド・マクベイン、井上一夫訳、早川書房、1980→1990は、http://d.hatena.ne.jp/hoshi-itsu/20080806のとおり。
『血の絆』エド・マクベイン,井上一夫訳,早川書房,1975→1988は、http://d.hatena.ne.jp/hoshi-itsu/20080128のとおり。