折原一氏は1985年デビューですから今年でおよそ30年の作家生活。本作は、初期・中期・後期という分け方でしたら、中期にあたる作品ですかね。初期から一貫して叙述トリックを用いているのは変化がないのですが、有名なニュースからB級ニュースまで、実在の事件をモデルにした作品になってきてから中期になった気がします。本書は、軽犯罪で逮捕された者が自分の名前の黙秘を続けたというB級ニュースを素材の一つに扱っています。
途中、誰かが誰かと同一人物で、ひょっとしたら○○がずれているのではないか、と思っていたのですが、そのとおりでした。しかし犯人はまったく当てることができませんでしたが。本書は謎解き小説ではありませんしね。けれどもミステリ的な魅力が満載のミステリであります。このような面白さそのものがオリジナルとなっており、☆☆☆★というところです。
- 作者: 折原一
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2004/11
- メディア: 文庫
- クリック: 6回
- この商品を含むブログ (17件) を見る