多く出回っている編集者の仕事についてのエッセイは、どのように企画があがってきたかを記すものが大半ですが、本書は元新潮社の文芸をメインとした編集者が原稿を受け取ってから書籍にするまでを記したものです。「すべては判型から出発する」「頁はどこから始まるの?」「目次と索引は技量が問われる」「校正、畏るべし」というような見出しに象徴されるように、編集者の基本が詰まっています。このあたりはエディタースクール関係の編集ハンドブックの内容を習得したその後に必要とされる内容ですが、実際編集者になって、実践で学ぶことが多かったものです。
どの業界も同じだと思いますが、出版社によって、編集作業の名称や内容が異なります。例えば、増刷と重版ですね。同じことを意味しているのですが、何故か出版社によって違うのです。これも会社文化の一つなのでしょうか。
また、時代によっても、様式といっていいものが段々変化していきます。例えば扉は左頁から始まるのが常識なのですが、雑誌と同じように右頁に扉をもってくる書籍が見られることがあるようにです。
そのため、本書も古くに成立した基本を改めて確認していくこと、そして新潮社ではこのようなルールがあるのだ、というように読み取りました。著者も文芸関係ですから、それに限られた内容ですし。しかし、編集者なんて必要ないという人がいますが、いなくなったらどうなるか、本書を読めばわかるようになっていますので、そういう人にお勧めです。
- 作者: 柴田光滋
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/06
- メディア: 新書
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